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出産の喜び苦しみ共有 語り場「ラボ」で広がる輪 静岡

6/17(土) 11:00配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 母親同士で出産経験を語り、苦しみや悲しみ、不安、そして喜びを共有する場を提供しようと静岡市内の母親2人が設立した会「お産ラボ」が活動の輪を広げている。県助産師会によると、県内では珍しい取り組み。出産後は育児に追われて忙しい母親にとって貴重な機会となっている。

 設立したのは3児を育てている代表の平田砂知枝さん(40)と1児を持つ増本恵子さん(31)。開催は県内各地で2016年3月の初回から今年5月までに計15回を数え、毎回7組前後の母子らが参加して累計約300人に上る。スタッフは15人となり、それぞれの地元での開催も始めた。

 「あのころ、下の子と何げなく第1子の話をできるようになるとは思っていなかった」。静岡市内で開かれた15回目のお産ラボ。友人の紹介で参加した作業療法士の平野雪子さん(34)は帝王切開で出産し、先天性の障害で3カ月後に亡くなった第1子のお産を語り、参加者は耳を傾けた。

 現在は、下の2児を怒ってばかりの毎日だが、元気で生まれてくれただけで幸せと締めくくった平野さん。会終了後、「お産についてじっくり振り返る機会は少ない。命を授かることができたという幸せに気付かされ、心の栄養になる」とお産ラボの意義を話した。

 平田さんと増本さんの縁結び役は、県助産師会会長の草野恵子さん(64)。第1子を妊娠時、病院の雰囲気になじめなかった平田さんは草野さんのくさの助産院を受診し、出産時の思いを記した母親たちのノートに感動。助産院の魅力を情報発信するようになり、15年、看護学生と母親をつなぐ「お産を語る座談会」を開催。参加した1人が増本さんだ。

 病院で出産した増本さんは順調に母乳が出た。「そのためか授乳指導に加え、オムツ替えなどの育児指導も満足に受けられなかった。初産だから退院後の生活が不安だった」。座談会で経験を語り、参加者に共感してもらったことで心の“とげ”が和らぎ、平田さんに定期開催を望んだという。

 会のルールは、互いの心に寄り添うため無言の時間や「やっぱり話さない」という選択肢を尊重すること。母親の生の声をお産に役立てたいという助産師の賛同が活動を後押しする。平田さんは「『お母さん』が誇りを持って毎日を過ごすことができるような会にしていきたい」と話す。

静岡新聞社