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<漢語角>公園で「ニーハオ」 日中交流の10年

6/17(土) 13:00配信

毎日新聞

 東京・西池袋の公園で毎週日曜日の午後、日本人と中国人による語学交流の場「星期日漢語角」が持たれている。中国語で「日曜日中国語コーナー」の意味だ。「漢語角」は2007年にスタート。都会の片隅で始まったささやかな日中交流の試みは、10年を経て参加者延べ2万人を超えるまでに成長した。【浜名晋一】

 「はじめまして、ハルビンから来ました。よろしくお願いします」。6月11日の日曜日、中国から来た男子留学生が、たどたどしさの残る日本語で自己紹介した。「漢語角」のルールは至って簡単だ。公園に集った人々が自由にグループを作り、日中両国語で会話する。日本人は中国人に、中国人は日本人に、それぞれ自国語を教えるという仕組みだ。参加費は無料で、活動時間の午後2時から同5時までの間、出入りは自由。雨の日などは近くの喫茶店に場所を移す。

 ◇ヒントは中国の「角」

 「漢語角」を始めたのは、日中に関する本を出版している日本僑報出版社の代表、段躍中さん(59)だ。もともと、北京で「中国青年報」の記者をしていた段さんが留学のため来日したのは1991年。在日中国人の情報を発信する新聞社を設立し、事業の一環として、中国語作文コンクールを実施した。「漢語角」はその日本人受賞者の交流の場としてスタートした。ヒントになったのは、中国各地にある「英語角(英語コーナー)」「日語角(日本語コーナー)」という、学習中の外国語を使って会話する市民の自主的なサークル。西池袋の公園を選んだのは、自らの経営する会社の近くだったからだ。

 現在、多い時には約150人が集まるという「漢語角」。参加者はさまざまで、中国語を学ぶサラリーマンや中国人留学生、時には日中の外交官が顔を見せることも。そこでの出会いから友人や恋人の関係に発展したり、知り合った中国人のために引っ越しの車を用意してあげたりしたケースもあったという。

 ◇「顔の見える交流を」

 「漢語角」に初めて参加したという劉子暢さん(28)は、日本語学校で学ぶ学生。中国では日本のアニメを見て日本語を学んだというが、「カタカナ語が難しい」と話していた。中央大4年の堀地綾さん(22)も初参加組。大学では第2外国語として中国語を選択しているが、中国人と生の会話がしたいと公園を訪れた。中国人参加者とは出身地などについて話を交わしたといい、「実際にコミュニケーションを取るのは楽しい」と笑顔を見せた。

 段さんは日中関係の現状について、「中国人が何百万人、日本に来ても『爆買い』するだけで、日本人と交流する機会は少ない。一方、中国を訪れる日本人も今は少なく、互いに接する機会がないと誤解が増すばかりだ」と指摘する。「たとえ政府が対立しても、日中の間には顔の見える交流の場が必要」と語る段さんの夢は、全国各地に「漢語角」を作ることだ。

最終更新:6/17(土) 13:00
毎日新聞