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プレミアム感前面に マルヰ醤油がこだわりの新商品 容器・ラベルも一新

6/17(土) 7:55配信

産経新聞

 昔ながらの製法でしょうゆ醸造を行う中野市の「マルヰ醤油(しょうゆ)」が、「信州・中野」のプレミアム感を前面に打ち出した商品を開発した。県内のしょうゆ製造業界は、全国に圧倒的なシェアを持つ信州みその陰に隠れ、苦しい経営を迫られているのが実情だ。首都圏の消費者心理をくすぐる工夫を凝らし、新商品で劣勢の挽回を図る。(太田浩信)

 県醤油工業協同組合連合会(長野市)には現在、約40の事業者が加盟する。ただ、家族経営の小規模な事業者が大半で、どこも経営難に陥っている。同組合は「個人的なつながりを通した商売」が定着しているため、市場の拡大は容易ではないと指摘。その上で「事業者の高齢化も深刻だ」と話す。

 家庭でも醸造できるみそと違い、しょうゆは火入れや絞り、濾過(ろか)、搾りかすの処理など、複雑な工程が必要となる。同組合によると、すべての工程を自前でこなせる事業者は数社しかなく、すでに絞り終えた半製品を仕入れ、自社で受け継がれてきた味に整えてから出荷する事業者がほとんどという。

 マルヰ醤油は製造過程で、麹の手触りやもろみが発酵するときに出る音など、職人の五感に頼る手作り感を大切にしている。このため、大手メーカーには生産規模で太刀打ちできず、厳しい価格競争に直面する。民野博之社長は「スーパーの棚に並べたくても、小さなメーカーが入る余地はほとんどない」と嘆く。

 それでも、信州しょうゆ特有の香りやうまみを好むファンが全国にいることは強みだ。そこでマルヰ醤油は、伝統の味を損なわないよう、こだわりの製法と容器の斬新さなどを消費者にアピールすることで、売り上げ向上を目指すことにした。

 まずは、再出発の象徴としてコーポレートマークを制作。販売戦略の再構築に向け、県地域資源製品開発支援センター(松本市)に相談し、「醸成」の文字と社名の英文表記を組み合わせた意匠とした。

 製造でも地元・中野市に隣接する木島平村産の大豆と小麦を使い、自社工場の深さ100メートルの井戸から志賀高原の伏流水をくみ上げて仕込んだ。

 容器も一新し、消費者に洗練さを感じさせる細長いボトルに改め、ラベルもレトロ調にして、消費者の購買意欲をくすぐることを狙った。

 たまり醤油、味噌(みそ)だれ、黒酢も同じ装いで販売し、価格はいずれも1瓶(185ミリリットル)500~600円を想定している。

 民野社長は「大量の生産・販売は不得手なので、少量でも良質なしょうゆを作り、消費者に伝えたい」と意気込んでいる。

最終更新:6/17(土) 7:55
産経新聞