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甲賀のササユリ、根強く着々 復活から3年目、ゆくゆくは名所に

6/17(土) 7:55配信

産経新聞

 甲賀市甲南町竜法師の「奉公山(ほうこうざん)」で、市の花ササユリが見頃を迎えている。かつて同地区で咲き誇っていたものの、生育が難しいことなどから減少していたが、3年前から地元の老人クラブの有志が復活を試みて着々と数を増やした。「ゆくゆくはササユリの名所にしたい」と意気込む。

 奉公山で15日に開かれたササユリの観賞会。甘い匂いを出す薄ピンクの花に、地域から集まった30人からは「きれいね」や「懐かしい」などの声が上がった。

 「10日間くらいしか花は見ることはできないんです」。地元の老人クラブ「竜法師いきいきクラブ」のメンバーでつくる「ササユリを育てる会」の田代豊嗣会長(78)が解説する。

 同会は平成25年、老人クラブの12人で設立。全員70歳以上だ。約半世紀前は一帯で咲き誇っていたというが、人口減少などで里山の手入れが行き届かなくなったことなどから、年々減少。田代さんは「周辺では絶滅の危機にある」という。

 幼い頃に見たササユリやホタルが飛び交った風景を取り戻そうと、田代さんら有志で会を立ち上げた。

 まず、竜法師地区でササユリが自生している里山を調査。奉公山の草刈りなどをして生育環境を整えた。その後、すでに花を付けているササユリを採取。メンバーが自宅で育てたあと、奉公山の斜面に確保した栽培スペースを中心に27年3月から移植を始めた。

 シカなどによる食害防止のためのネットも整備。徐々に栽培スペースを広げ、3年目の今年は32輪が花を咲かせた。

 ササユリは日本原産のユリで、5~7月に白やピンクの10~15センチの花を付ける。葉や茎がササのような形状で、他のユリより強い香りが特徴。また、球根に栄養をためてから花をつけるため、種の状態から花を咲かせるまでに5~7年かかるとされる。

 会では、メンバーが自宅で採取した種や球根も栽培しており、こちらも徐々に育ってきているという。

 みなくち子どもの森自然館(同市水口町北内貴)の河瀬直幹学芸員によると、周りに背の高い植物が多いと育ちにくいため、山と里の中間ぐらいの地点で生育することが多い。河瀬さんは「人と自然が共生してよい循環を作っている一つの指標となる花」という。

 ササユリを育てる会の田代さんは「花がたくさん咲き、昔を思い出してうれしい。多くの人に自然豊かな竜法師地区のことを知ってほしいので、今後も根強く活動していく」と話している。

最終更新:6/17(土) 7:55
産経新聞