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IS最高指導者死亡情報 組織統合困難に アメーバ状に分散・潜伏懸念も

6/17(土) 7:55配信

産経新聞

 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の指導者、アブーバクル・バグダーディ容疑者の死亡が事実とすれば、ジハード(聖戦)の“象徴”を失った組織にとっては大きな衝撃だ。組織統合が困難となる可能性があるが、半面、各部隊がアメーバ状に分散・潜伏するなどして捕捉しづらくなる事態も想定される。

 汎アラブ紙アッシャルクルアウサトによると、ISは最近、バグダーディ容疑者の下に12人の委員から成る評議会を設置し、一種の集団指導体制を構築。同容疑者はそれを代表する「イメージ」(同紙)にすぎないとの見方が強い。

 もともとISは、国際テロ組織アルカーイダ系勢力に、2003年のイラク戦争で地位を失った旧支配政党バアス党の残党らが合流した組織だ。軍事戦略や支配領域の行政運営などはバアス党系が担うとされる。

 ただ、イスラム世界の指導者である「カリフ(預言者ムハンマドの後継者)」を名乗るバグダーディ容疑者が、組織の求心力を高めてきたのも事実だ。イラク北部クルド人自治区で拘束された戦闘員らには、同容疑者を「本物のカリフと信じた」と産経新聞に証言した者も多い。残虐な動画などを駆使したISのプロパガンダも、自称ではあってもカリフが存在することで訴求力を持った。

 組織の「中心」が失われれば、後継選定などをめぐって集団指導体制にひびが入り、イラク軍などと戦う各戦闘部隊の自律的な行動が増える可能性がある。ISの指揮系統の乱れは、イラク北部モスルやシリア北部ラッカでの掃討作戦では有利に働くとみられる。

 他方でこれは、過激思想を身につけた各部隊やメンバーが分散・潜伏し、各地でゲリラ的なテロを実行するリスクが高まることも意味する。ISの脅威は今後も予断を許さない。(前中東支局長 大内清)

最終更新:6/17(土) 8:16
産経新聞