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289号国道八十里越 整備完了2023年度目標 只見-新潟・三条間不通解消へ

6/17(土) 10:46配信

福島民報

 福島県は2023年度にも、289号国道の福島県只見町と新潟県三条市間に位置し「八十里越」と呼ばれる不通区間を解消する。全長20.8キロのうち只見町側の延長7.8キロについて、約6年間での整備完了を目指す。一部福島県分を含む三条市側の11.8キロは国が同時期の完了に向け道路建設を進めている。開通すれば南会津地域の救急医療が向上し、広域観光が活発化するなど地域振興につながると期待される。
 16日に福島市で開いた福島県公共事業評価委員会で、福島県が只見町内の7.8キロで進めている整備事業の完成目標時期を示した。 
 八十里越は越後山脈のほぼ中央に位置している。国道だが県境をまたぐ区間は整備が進んでおらず、一般車両が通行できない「通行不能区間」となっている。 
 福島県只見町側の7.8キロは県の施工区間で昭和48年度に事業採択された。これまでに叶津第1トンネル(延長296メートル)、叶津第2トンネル(同567メートル)と7つの橋を建設するなど整備を進めてきた。ただ、沿線は国内屈指の豪雪地帯のため冬期間は工事ができず、完成に時間を要している。 
 今後は平石山トンネル(仮称)の建設に着手し、風雪による吹きだまりを防ぐスノーシェルター、雪崩を回避するスノーシェッドなどを整備する。事業費として新たに約40億円を確保する必要があり、国土交通省に財源確保を求める。 
 一方、福島県只見町叶津から三条市までの11.8キロは国の権限代行区間で国交省が整備している。同省は具体的な完了年度を明らかにしていないが、三条市では2023年度に救命救急センターを併設した県央基幹病院が開院する予定で、本県、新潟県側とも同時期の開通を目指す。 
 国交省によると、八十里越が開通すれば只見町-三条市間は約1時間20分で結ばれる。現在は磐越自動車道と北陸自動車道を経由して約3時間、只見町と新潟県魚沼市を結ぶ252号国道「六十里越」を経由して約2時間かかっている。 
 さらに、開通によって南会津地方の救急医療が向上する。現在、重篤な患者の救急搬送先は福島県会津若松市内の病院が中心で、1時間から1時間半程度を要している。八十里越を通り、三条市の県央基幹病院には約50分で到着できるという。 
 八十里越の周辺には只見柳津県立自然公園や越後三山只見国定公園がある。田子倉湖(只見町)などの名所も多く、新たな観光ルートの設定に向けた可能性が広がる。一方、上越新幹線燕三条駅へのアクセスが容易になり、過疎や少子高齢化に悩む南会津地方に他地域から人を呼び込むきっかけが生まれる。 
※八十里越
 289号国道のうち福島県只見町から新潟県三条市までの県境部分約20.8キロ。険しい山道のために一里が十里にも感じられたため、古くから八十里越と呼ばれたとされる。故司馬遼太郎の小説「峠」の舞台になったことでも知られる。南会津地方と中越地方を結ぶ物流と人的交流の要衝として栄えたが、大正3年に岩越鉄道(現磐越西線)が全通し、徐々に行き来が途絶えた。 

福島民報社

最終更新:6/17(土) 11:04
福島民報