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国宝指定「戦後最大の慶事」 東京・調布 深大寺の「白鳳仏」

6/17(土) 11:00配信

産経新聞

 東京都調布市にある天台宗別格本山・深大寺。奈良時代の天平5(733)年開創という都内有数の古刹(こさつ)であり、3月に境内で開かれる「だるま市」、名物の「深大寺そば」に惹かれて多くの人が訪れる。今年は所蔵する仏像の国宝指定が決まり、「戦後最大の慶事」(張堂完俊(ちょうどうかんしゅん)住職)と沸き返っている。

 ■「戦後最大の慶事」

 梅雨入り前というのに夏の陽気となったある週末の昼近く。降り立った「深大寺」バス停には涼しい風が吹き抜けていた。木々が生い茂り、木漏れ日がキラキラ輝いて、なんとも気持ちがいい。

 山門に至る短い参道脇には、ゲゲゲの鬼太郎グッズを販売する「鬼太郎茶屋」、老舗そば店が並んでいるが、この日のお目当ては違う。

 山門をくぐって本堂で手を合わせ、元三(がんざん)大師堂を経て向かった先は境内西角の「釈迦堂」。この中に、目的の国宝指定の「銅造(どうぞう)釈迦如来倚像(いぞう)」、別名、深大寺「白鳳仏」が安置されているのだ。

 ガラス越しに3体の仏像がほほえみかけてくれる。中央が白鳳仏。7世紀後半の白鳳時代に鋳造されたとされ、高さは83・9センチ。イスに腰をかけた「倚像」と呼ばれる珍しいスタイルで、右手を胸元の高さに掲げて手のひらをこちらに向け、左手は膝の上に置いている。優しい顔立ちが印象的だ。

 作風などから法隆寺(奈良県斑鳩町)の国宝「夢違観音立像」や、新薬師寺(奈良市)の国重要文化財「銅造薬師如来立像(香薬師(こうやくし)如来立像)」と同じ工房で鋳造された可能性も指摘され、極めて価値が高いことから、今年3月、国宝指定が決まった。

 関東にある国宝仏像は深大寺の白鳳仏と、「鎌倉大仏」として知られる高徳院(神奈川県鎌倉市)の阿弥陀如来像、大倉集古館(港区虎ノ門)所蔵の「普賢菩薩騎象像」の3体だけ。しかも、白鳳仏は鎌倉大仏より500年以上古い東日本最古のものだそうだ。

 国宝指定を記念して、今、白鳳仏の左右には新薬師寺の香薬師像と、鶴林寺(兵庫県加古川市)の重文「聖観音立像」のいずれも分身像(レプリカ)が配置されているが、この2体も代表的な白鳳時代の仏像で来年3月末まで拝観できる。

 ■釈迦堂に行列も

 昼食に深大寺そばをたぐって釈迦堂にもどってみると、白鳳仏を拝む人の長い行列ができていた。立川市から訪れた主婦(56)は「以前も拝みに来ましたが、国宝と聞くと一段とありがたい気がして主人と一緒に来ました」。

 深大寺教化部の張堂興昭(こうしょう)氏は「国宝指定が決まってから、明らかに参拝者が増えています。釈迦堂は平日でも行列ができるほど。昔は白鳳仏の見学を兼ねた小学生の遠足もあったと聞きますが、長らく途絶えていた。でも、昨今の様子を見ていると、そんな機運が盛り返しそうですね」と話す。

 深大寺を満喫したあとは、隣接する神代植物公園に足を伸ばすのも良さそうだ。約4800種、10万本・株の樹木が植えられ、四季を通じて草木、花に癒やされること確実。これからの梅雨のシーズンはアジサイ、ハナショウブ、スイレンなどが見頃を迎える。

 (多摩支局 三浦恒郎、写真も)

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 ■深大寺 東京都調布市深大寺元町5の15の1。京王線調布駅北口から京王バス「深大寺」行きで約15分、JR中央線三鷹駅南口からの小田急バス「深大寺」行きだと約25分。車の場合は武蔵境通り(東京都道12号)の「深大寺入口」から数分。「白鳳仏」が安置されている釈迦堂の参拝時間は午前9時~午後5時(冬季は午後4時)。【問】(電)042・486・5511(午前9時~午後5時)

最終更新:6/17(土) 11:00
産経新聞