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桃田賢斗復帰Vの裏で…青森の15歳・奈良岡功大が躍動 東京五輪へ着々成長

6/17(土) 13:00配信

産経新聞

 違法賭博問題による無期限の試合出場停止処分を受けたバドミントン男子、桃田賢斗(NTT東日本)の復帰戦の影で、ひっそりと期待の新星が実力を示した。関係者を驚かせたのは、全日本中学生選手権シングルスで史上初の3連覇を達成した青森県立浪岡高1年、奈良岡功大(こうだい、15)。5月末に開催された日本ランキングサーキット大会(さいたま市)で実業団選手を次々と破り準決勝進出。男子シングルスのてこ入れが急務となっているバドミントン界にとって、希望の光となった。(運動部 川峯千尋)

 ■日本代表も絶賛「配球は大人顔負け」

 「正直に言うと、プレーの仕上がりを見て、なんとか決勝まではいけるかなと思っていました」。1つ上の学年に勝つことすら難しいといわれるバドミントンの世界。それでも、父で指導者でもある浩さん(47)は息子の大躍進に驚きはなかったという。

 準決勝では日本代表の28歳、上田拓馬(日本ユニシス)と対戦。敗れはしたが、巧みな配球でミスを誘い第1ゲームを先取。その後も19-21、17-21と互角の戦いを繰り広げた。上田は試合後、「2年前に対戦したときからセンスはすごいと感じていた。(ネット際に落とす)ヘアピンもうまいし球も切れている。ストローク技術や配球も大人顔負け」と13歳年下の少年を褒めたたえた。奈良岡は「去年(2回戦敗退)より勝てたのでうれしいけど、悔しさのほうが大きい。気持ちで負けてしまった部分があった。次は勝ちたい」と唇をかんだ。

 ■注目が生んだプレーのブレ

 小学6年生だった2013年のJOCジュニアオリンピックカップ(中学2年以下の部)で史上初の小学生優勝。翌年には国内最高峰の全日本総合選手権で大会最年少勝利を挙げ、「スーパー中学生」として一躍有名に。中学3年という異例の早さでナショナルのB代表入りを果たすなど常に注目を浴び続けてきた。

 それは自信にもなったが、弊害も生みだした。さまざまな方向から指導を受けるようになったことで、考え方やプレーにブレが生じるようになってしまった。

 3度目の挑戦となった昨年11月の全日本総合では、1年前に勝ち星を挙げた高校生に敗れ1回戦敗退。思うような成果が挙げられず進路について悩む息子に、父は考える時間を与えた。このまま父の指導の下で競技を続けるのか、強豪チームで腕を磨くのか。「俺とお前の信頼関係がなければ俺のところに残っても意味がない。残るんならNOはなしだ」。年が明け、奈良岡は浩さんの下で競技を続ける道を選んだ。

 それから約5カ月。迎えたランキングサーキットでしっかりと結果を残し、浩さんは「やってきたことは間違いじゃなかった。課題ややるべきことについてお互いの認識を確認できるいい試合だった」。奈良岡も「集中して全力で臨んでいたら、ここまで勝ち進めた。練習から早いフットワークを意識して、1本1本のショットの精度を高めていきたい」と充実感をにじませた。

 ■夢は「五輪で金メダル」、打倒桃田にも意欲

 長年にわたりジュニア選手の強化育成に取り組んできた日本バドミントン協会理事の能登則男氏(64)は「以前はファイナルゲームで足が止まることもあったが、今大会ではそれがなかった。戦術面でも考えられたプレーが多く進歩している」と成長に目を見張る。今後、筋力強化を積んでスマッシュの威力が増していけば「代表にも入ってくるだろう」と太鼓判を押す。一方で、リオデジャネイロ五輪女子シングルス銅メダリストの奥原希望(日本ユニシス)や桃田など、トップ選手の多くは高校時代に若手の登竜門・世界ジュニア選手権や全日本総合で実績を残している。「世界でどれくらいの成績を出せるのか。ここ2、3年でどこまで勝ち上がっていけるかが重要になる」という。

 先月行われた男女混合の団体で争う国・地域別対抗戦スディルマン杯(オーストラリア・ゴールドコースト)で、日本は準決勝敗退。元世界ランキング2位でエース格だった桃田の不在もあり、男子シングルスは4戦全敗と厳しい現実を突きつけられたばかり。若手の台頭に協会関係者も「うれしい限り。『やればできる』という刺激が同世代の選手のレベルアップにもつながれば」と期待を寄せる。

 夢は「五輪で金メダル。間に合えば東京で」。いずれは倒さねばならない桃田については「すごい選手なのでいつかは勝ちたい。どこまで食らいつけるかやってみたい」と意欲的だ。来月には高校総体が控える。「サーキットで4強でも高校総体で負けたら意味がない。油断せずにしっかり結果を残したい」。高校総体の男子シングルスで、これまで1年生による優勝はない。数々の“史上初”を成し遂げてきた15歳は、歴史に名を刻みながら着実に夢舞台へと登り詰めるつもりだ。

最終更新:6/17(土) 13:00
産経新聞