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投資信託のリスクの見方~有効な分散効果が期待できるのは?

6/17(土) 16:15配信

投信1

「パフォーマンスがいい」投資信託(ファンド)とは、リスク対比リターンの良いものであるということを以前の記事でご説明しました。しかし、「リスク=収益率の標準偏差」と言われてもピンとこないかもしません。また、どこを見ればリスク値が出ているか、実際に目にされたことはあまりないのではないでしょうか。

リスクの計算は、数銘柄程度ならEXCELで関数機能を使えばできるレベルです。ただ、銘柄が増えるとデータが多数にわたり、自分で計算することは不可能ではないにせよ、それ自体は重要なことではありません。

計算結果は後ほどご紹介するサイト等を見ればよいので、その値を使ってリターン比の有利なファンド探しやマーケット環境に応じた資産選択に時間を使う方がよほど大切です。しかし、リスクの計算式は高校レベルの数式ですから、その意味を文系出身の筆者が解釈した方法で理解しておいていただければと思います。

計算プロセスを詳しく理解する必要はありませんが、計算結果の大小(=リスク値)がどういう要因で変わるかを基本的に理解しておくと、どういう銘柄分散がリスク値を減らせるか理解しやすいと思います。

リスクの計算式の意味合い

標準偏差=√ポートフォリオの分散、すなわち分散の平方根です。そして、単純化するとAとBの2銘柄のみ保有するポートフォリオの分散は次の式で表されます。ここでσA、σBは各銘柄の標準偏差、A、Bは各銘柄の保有比率です。

おそらく理系の人なら抵抗を感じず、文系の人ならできれば読み飛ばしたくなる式ですね。

実はこの式の3つのパーツを正(+)負(-)の符号だけに着目すると計算結果の大小が極めて簡単に見えてきます。

まず、最初の2つの項であるσA2
A2
とσB2
B2
は標準偏差および保有比率の各々の二乗なので必ず正の値を取り、かつ各数値の絶対値が大きいと分散の値が大きい方に働きます。しかし、最後の「2 × 相関係数 × σAσB × A × B」は、後半は各数値とも正の数値ゆえ必ず正の値ですが、「相関係数」はプラスにもマイナスにも働きます。

この場合、相関係数とは銘柄AとBの収益率が同方向(A↑⇒B↑)に行くなら正の値、逆方向(A↑⇒B↓)に行くなら負の値になります。

そうすると3項の合計であるVを小さくする=リスク値を小さくするには相関係数がマイナスになる銘柄の組み合わせを選べばよいのです。相関係数がプラスだと最後の項が正なのでむしろVは大きくなります。

相関係数が正の組み合わせは、たとえばトヨタと日産のように同じ国の同業種の株式だと為替や景気動向が同じ方向に作用するので、騰落も共にする傾向が強いでしょう。

こういった組み合わせは効率的でない銘柄分散で、さらにスズキ、マツダ等、同業種の銘柄ばかり分散して増やしてもあまりリスク軽減効果はありません。

一方、良い分散とは負の相関関係を持つ資産の組み合わせです。たとえば、原油を掘るアメリカ企業のエクソンモービルと日本航空(JAL)の組み合わせを考えます。

前者は原油価格が上がると収益が増え株価が上がる、また株価がUSドル建てなのでドル高はポートフォリオの中で他通貨比でプラス要因です。JALは逆に原油高で燃料コストが上がり、ドル高円安は燃料や航空機の輸入コストの上昇要因なのでマイナスです。

ゆえに、この2つの銘柄を組み合わせると反対方向の動きをする傾向にあると言えるでしょう。個別銘柄に限らず、一般的に景気が良くなると株価は上がるが、金利が上がって債券価格は下落するので同じ国の株式と債券の組み合せは良い分散といえます。

以上をまとめると、銘柄分散といってもむやみに数を増やしてもリスク値を小さくすることにならず、負の相関になる組み合わせを選べば少ない銘柄でも有効な分散効果が期待できるというわけです。

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最終更新:6/17(土) 16:15
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