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時速500キロ、本紙記者がリニア体験

6/17(土) 9:00配信

岐阜新聞Web

 リニア中央新幹線の開業まで、あと10年。超電導磁気浮上方式を採用し時速500キロで走る“夢の超特急”は、東京・品川-名古屋間286キロのうち86%がトンネルだ。険しい山脈を突き抜ける車両の中では気圧差が引き起こす“耳ツン現象”が課題の一つで、より快適な乗車環境を目指し技術者たちが日々改善を加えている。今月、山梨県のリニア実験線(笛吹市-上野原市、総延長42・8キロ)で行われた報道機関向けの試乗会で、記者も体験乗車してみた。
 走行試験に使われているリニア車両「L0(エル・ゼロ)系」は座席やテーブルなどの内装をはじめ、車内の雰囲気は東海道新幹線とほぼ同じ。線路上を低空飛行する飛行機のようなイメージで、発車直後はタイヤ走行で加速し、速度が上がると磁気による浮上走行に切り替わる。発車して2分50秒、14・3キロで時速500キロに到達した。
 リニア中央新幹線は中央、南アルプスなどの高く険しい山脈を突き抜けて走り、トンネル区間が多くなる。実験線でも42・8キロのうち35・1キロがトンネルだ。さらに、実験線の標高差は最大で約400メートル。トンネルに突入した時の気圧の変化に加え、高速エレベーターで上下するような気圧差が生じる。快適な乗車のためには“耳ツン現象”と呼ばれる車内気圧の変化を和らげることが課題だ。
 飛行機をはじめ、山陽新幹線などトンネルが多い電車に乗った時の耳の閉そく感が苦手な記者。時速500キロのトンネル通過を覚悟して乗車したが、大きな圧力を受けた感じもなく、耳が痛くなることもなかった。JR東海の技術者は「外から空気を取り込む換気装置の調整に改善を加えている。変化をソフトにすることが今後の課題」と説明した。
 快適な乗車でいえばタイヤ走行中は車でトンネル内を走っている時のような音が響く。浮上走行に移ると静かになるが、時速400キロを超えると車体が小刻みに揺れ始める。飛行機の機内にいるような感覚で、タイヤ走行に戻る瞬間は飛行機が着陸した時のような軽い衝撃を感じた。
 開業まであと10年。走行試験を繰り返し、快適な乗車に向けた技術も今以上に進歩してくれるだろう。
◆早くも観光の目玉 山梨の実験線見学センター
 実験線とはいえ、一足先にリニアが動き出した山梨県では、観光資源としても欠かせない存在になっている。
 都留市の実験センターの隣にある県立リニア見学センター。時速500キロで走行するリニアを間近で見られることもあり、大勢の家族連れでにぎわう。リニア関連のグッズや山梨の特産品も売られていた。
 実験線が見渡せる道路沿いには昨年11月、道の駅がオープンした。観光案内所のスタッフは「センターの見学後に立ち寄る人も多い」と話す。今年3月には観光客からの要望を受け、リニアの走行位置とライブ映像を表示するモニターを道の駅にも設置した。
 地元紙の県政担当記者はこう分析する。「山梨県で初めての新幹線。県庁所在地に中間駅が置かれる。人口減少社会の中で、県の命運を懸ける事業だと捉えている」
 リニア開業までもう10年であり、まだ10年でもある。沿線自治体は開業時に向け、観光客らの受け入れ体制に磨きをかけている。

岐阜新聞社

最終更新:6/17(土) 13:02
岐阜新聞Web