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町の中になぜ市が? 「飛び地」の謎に挑む 福岡県筑前町に囲まれた朝倉市

6/17(土) 6:30配信

西日本新聞

 市町村の地図を見ていると、取り残されたように別の市町村の住所地になっている「飛び地」を見つけることがある。実は全国あちこちにあり、珍しいわけではないのだが、どうも気になって仕方がない。その一つ、筑前町に囲まれた朝倉市の飛び地を訪ね、謎解きに挑んだ。

⇒【画像】クリーニング工場の敷地内。道路右が筑前町、左は朝倉市の「飛び地」の一部という

 まず地図で確認しよう。筑前町の町立大刀洗平和記念館のすぐ南西側に、なぜか「朝倉市馬田」がある。面積は約9千平方メートル。検索アプリの地図を拡大すると、倉庫会社があるようだ。その約300メートル東には、キリンビール福岡工場などを含む「本拠地」の朝倉市馬田がある。

 「確かにここの住所は朝倉市馬田です」。飛び地を訪ねると、三菱倉庫関連会社の内田稔彦さん(65)が作業の手を休めて応じてくれた。経緯は分からないが「一帯が戦前に大刀洗飛行場だったことと関係しているのでは」という。

「固定資産税も別々に納めるんですよ」

 倉庫の東隣にある高級品専門クリーニング工場「こばやし加工センター」。専務の小林博子さん(67)に聞くと「うちは両方にまたがっているんです」。同じ敷地内でも自宅や工場は筑前町、庭などの一部は朝倉市。「固定資産税も別々に納めるんですよ」

 小林さんによると、周辺は10年ほど前まで「倉光さん」のブドウ畑だった。たどり着いたのが、約2キロ離れた「本拠地」の朝倉市馬田に住む倉光チエ子さん(73)。飛び地は義父の一久さんが戦前に入手した農地だったという。

 一久さんは1912年生まれ。もう亡くなったが、飛び地について「当時の区長に『あそこは馬田にしときない』と言われた」と話していたことをチエ子さんは覚えている。「でもそれ以上は…。もっと聞いておけばよかったですね」

「恐らくは飛行場と関係がある」

 朝倉市や筑前町に聞いても経緯は不明。手の届きそうなところで謎解きは行き詰まったが、地元の人たちは内田さんと同じく「恐らくは飛行場と関係がある」と口をそろえる。

 「太刀洗飛行場物語」(桑原達三郎著)によると、馬田村(現朝倉市)、三輪村(現筑前町)、大刀洗村(現大刀洗町)にまたがる旧陸軍大刀洗飛行場の敷地は戦後、引き揚げ者や戦災者らに分け与えられた。入り組んだ境界線は開拓の妨げになるため、3村長は46年に新しい直線の境界線を決めたという。

 だが協議は難航したようだ。81年編さんの大刀洗町史には「各村の主張はなかなかまとまらず、険悪な雲行きになった」「決定したかに見えたが馬田村から異議が出て、再協議が繰り返された」とある。

 当時、村同士で何らかの土地のやりとりがあったとしたら…。不自然で不思議な飛び地に、想像ばかりが膨らむ。

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最終更新:6/17(土) 6:30
西日本新聞