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ノルディック複合・渡部暁斗、五輪観は「バガボンド」の宮本武蔵から

6/17(土) 14:00配信

スポーツ報知

 ノルディックスキー複合の14年ソチ五輪個人ノーマルヒル銀メダリスト・渡部暁斗(29)=北野建設=が、ユニークな五輪観で18年平昌大会での金メダル獲得を狙う。
 愛読する人気漫画「バガボンド」の主人公・宮本武蔵の生きざまをヒントに、いつ何時でも戦える自信を備えるのが渡部流。他競技の動きを積極的に取り入れるなど工夫を重ね、11―12年からW杯個人総合で毎年3位以内をキープする実力者が、満を持して五輪初の頂点へ見参する。

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「いつでも準備」

 愛読書に、ピンときた。五輪は、必ずやってくる敵のようなもの―。いつ何が襲ってきても大丈夫という自信が、渡部の金メダルの第一歩になる。

 「『バガボンド』で、武蔵が刀で自分の周りに円を描いて、『ここからは動かないから、これ以上来たら斬る』というようなシーンがあった。僕の五輪観は、ちょうどそんな感じ。来るなら、斬る。その状態を常に準備しておかないといけない。五輪でも何でも、いつ来てもらっても斬る準備はできている、というのが侍だと思う」

 思い浮かべるのは、戦場に立つ己の姿。いつ、どんな形で来るか分からない敵に、どんな展開でも勝ってみせる。巌流島の戦いで名高い剣豪の生きざまに自らを重ね、8か月後の決戦へ静かに炎を燃やす。

他競技を真剣に

 複合W杯で、荻原健司(19勝)に次ぐ日本歴代2位の通算9勝。直近の17年世界選手権では個人ラージヒル銀、団体スプリント銅。11年に早大卒業後、独特の練習法を取り入れて第一人者に上り詰めた。

 「他競技を真剣にやってみることを大事にしてきた。体験するというレベルじゃなく、もうちょっと真剣に他競技に取り組んでみる。どうやったら壁をうまく登れるか、速く泳げるか頑張ると、動きの経験が体に蓄積されて競技に生きる瞬間が出てくる」

 ジャンプとクロスカントリーを、高いレベルで両立する種目だからこそ、ひとつの動きにとらわれない柔軟な発想が必要だった。ジョギング、マウンテンバイク、ボルダリングに水泳。陸上、水中問わず、スキーとは全く違う動きのスポーツで得たものを糧にしてきた。

 「自転車なら平均時速やスピードが上がって『こないだより楽なのに速く走れている』とか、そういうところで成長を体感できる。いろいろな経験値を重ねた後であれば、同じアドバイスを受けても違う反応が体の中に起こる。それがうまくいっている。例えば、素人がダーツをうまくなるためにどうするか、という研究があって、普通に投げても当たらないが、『紙飛行機を投げるように』とアドバイスすると、得点率が上がるという話を聞いた。何らか経験したことがある方が、アドバイスに対しても体が動きやすいということだと思う」

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最終更新:6/17(土) 17:22
スポーツ報知