ここから本文です

新日本プロレスとアニメ『はいふり』には共通点がある!?

6/17(土) 11:10配信

朝日新聞デジタル

【&30】

 物的な消費から体験型の消費へ転換した、と言われるようになってかなり経つ。2017年5月31日から6月2日にかけて幕張メッセで開催された「第4回ライブ・エンターテイメントEXPO」「第4回イベント総合EXPO」は、活況の業界の熱気が伝わる内容だった。特に、6月1日に行われた講演では、「新日本プロレス」「アニメ・ゲームでの町おこし」といった話題のテーマが目白押し。先駆者たちの話から、体験型消費を成功させるカギを探った。

【写真】6月11日に行われた「三大カイジ」イベントのイラストや講演の様子

ファン層広げた新日本プロレス

 近年、“プ女子(プロレス女子)”という言葉が流布したように、イケメンで屈強なプロレスラーたちが新たなファン層を取り込み、人気を博しているのがプロレス団体「新日本プロレス」である。2012年からのオーナーは、カードゲームを中心に事業を展開している株式会社ブシロード代表取締役社長の木谷高明氏だ。総合格闘技ブームなどに押され“暗黒期”とさえ呼ばれた2000年代を耐えた新日本プロレスは、2012年時の売り上げは11億だったものの、その後の改革により2017年今期の売り上げ見込みは、会場で講演した木谷氏いわく「37億円」というところまで伸長してきた。

 新世代ファンが注目される新日本プロレスのブースに足を運ぶと、親子連れを含めて年代の幅は広いことが分かる。経営参画の初年度に投じた3億円という広告費について、木谷氏は講演で「職場で机を並べていても、お互いがプロレスファンだと知らないことも多い。電車のラッピングや駅の広告が目に入ると、『昔よく行ったなあ』『え、プロレス好きだったの? 今度一緒に行こうよ』という会話が生まれる。バラバラの点だったファンを線でつないで面にしたかった」と語った。

 かつてゴールデンタイムにテレビ放映されていた頃が、プロレスの“黄金時代”だったとよく言われる。テレビでの露出は減ったが、その後、メディアのテレビへの一極集中の時代も終わったことで、プロレスは、ファンへ向けて多角的にアプローチすることが可能になった。

 積極的なSNSの活用に加えて、『タイガーマスクW』のような新規アニメのテレビ放映、Abema TVなど新興のストリーミングサービスの活用、そして独自の動画配信サービスなど、「昔は一個だった“出口”が増えている」(木谷氏)現状を活用しているのだ。

 結果としてすそ野が広がり、「面」になったファンは、試合会場に足を運ぶようになり、新日本プロレスはスポーツ及びエンタメ市場で注目の的となっている。

 さらに興味深かったのは、木谷氏が「アメリカのスポーツ放映権料の“バブル”はいずれ弾ける」とにらみ、そこに新日本プロレスのアメリカ進出のチャンスがある、と強調した点だ。

 米国のスポーツ市場は1990年の5兆円規模から25年間に60兆円規模まで成長し、スポーツ映像の放映権料も高騰している。しかし、木谷氏も述べたように、北米スポーツの巨大メディアESPNがこの4月末に100人の大規模リストラを始めており、その“バブル”にも影が差し始めたという分析もある。木谷氏はそこに、アメリカを拠点としたプロレス界最大の団体・WWEに対抗する道を見出しているようだが、プロレスというジャンルを離れても、安易に海外の成功例を追いかけるのではなく、体験型消費の市場の行く先を冷静に見据えているのだろう。

1/3ページ

Yahoo!ニュースからのお知らせ