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<加曽利貝塚>“国宝相当”に喜びの声 魅力の創出、景観整備に課題も

6/17(土) 12:25配信

千葉日報オンライン

 国の文化審議会が16日、国宝に相当する特別史跡に指定するよう答申した「加曽利貝塚」(千葉市若葉区桜木)。縄文時代の遺跡としては全国4例目だが、貝塚で初。最大級の評価を受けることに関係者は喜びの声を弾ませる。一方で、研究や情報発信が停滞した“空白期間”があったことから、課題も抱える。

 「先人各位に謝意を申し上げたい。さらなる発掘調査に期待を寄せるとともに、貝塚の価値をより掘り下げていく取り組みに努めたい」。NPO法人・加曽利貝塚博物館友の会の赤田靖英理事長は、吉報に感謝と抱負を述べた。同会の前身は1960年代、宅地開発で破壊の危機に直面した同貝塚の保存運動に尽力した「守る会」。喜びはひとしおだ。

 市は同貝塚を市固有の地域資源の一つとし、千葉市らしさの確立、まちづくりに活用しようと取り組んでいる。答申に熊谷俊人市長は「先人たちが残した千葉市の誇りが日本の誇りになった。縄文時代を楽しく体験できる学習観光施設としても活用したい。市民に愛される千葉市の代表的な場所の一つにしていければ」と展望を語った。

 特別史跡への機運が高まったのは10年ほど前から。市文化財課によると、2006年ごろ、当時のブームに乗って市議会などで世界遺産を目指す声が上がり、現実的な取り組みとして特別史跡を目指すことになった。

 それまでは、貝塚の調査が外部委託を中心に行われていたことなどから、博物館で研究の積み重ねや価値を伝える活動が長らく停滞。60年代の保存運動や博物館開館、70年代に史跡に指定されてから現在に至る“空白期間”は、市民の貝塚への関心の低下を招いた。どうやって魅力を引き出すのかが大きな課題だ。

 貝塚のすぐそばに住む友の会の武孝夫副理事長は「縄文時代から続く素晴らしい自然が残っている」と同貝塚の魅力を語る一方で、「近所の人は散歩コースにしているが、どんなものなのかは知られていない」と話す。

 公園になっている現在、貝層断面や住居跡が見られる施設があり、竪穴住居が3棟復元されているが、特徴である貝塚の広がりが実感できない。市は大きな改善課題の一つとする。北貝塚の上に建つ鉄塔は景観を阻害すると指摘され、博物館も同様の理由で史跡外への移転が必要だ。

 秋には貝塚の発掘調査を行い、現地説明会を予定する。博物館の高梨俊夫館長は「まずは本年度に、来た人がゆっくりと楽しめるように園路やトイレを改修したい。貝塚の魅力を伝えるガイドツアーに力を入れていく」と話している。

◇加曽利貝塚

 千葉市若葉区桜木に広がる縄文時代中期~後期(5千年前~3千年前)の遺跡。広さは約15万1千平方メートルに及び、集落を伴う「ムラ貝塚」として国内最大級。直径140メートルの環状形の北貝塚と長径190メートルの馬てい形の南貝塚が連結した8字形の貝塚が特徴。出土する貝のほとんどがイボキサゴ。土器は加曽利E式、B式として時期区分の基準になっている。発掘は全体の7%にとどまる。市は今年1月、「縄文文化を解明する上で極めて貴重な遺跡」として、特別史跡に指定するよう国へ申請していた。