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自動運転で最も恩恵を受けるのは誰?

6/17(土) 14:27配信

ニュースイッチ

さまざまな「不足や危険」を「便利」に

 能登半島の北西にある輪島市。豊かな緑と海に囲まれた人口約3万人の町で、2018年にも近未来を想起させる新たな交通システムの実証試験が動きだす。自動走行技術を活用した小型電動カートが観光地や病院、商業施設などを巡回。時に地域住民の移動手段として、時に観光客の輸送手段として活躍する見通しだ。

<ラストマイルが高齢者と観光客を救う>

 1000年以上の歴史を持つ輪島朝市、祭りの熱い華やぎが伝わってくる輪島キリコ会館。さまざまな観光地を抱える同市には毎年多くの観光客が訪れる一方、市人口の高齢化率は約43%に達し、便利な交通サービスが求められていた。

 これは経済産業省と国土交通省が進める「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業」の一環。産業技術総合研究所(産総研)が民間企業や大学と組んで技術開発を進めていく端末交通システム(ラストマイル)の実証だ。

 輪島市のほか福井県永平寺町、沖縄県北谷町、茨城県日立市が実証地域に選定されており、将来の事業化を前提としている。

 小型電動カートをヤマハ発動機、日立製作所、慶応義塾大学、豊田通商、ヤマハモーターパワープロダクツのグループが、SBドライブと日本総合研究所のグループが小型バスをそれぞれ開発しており、実証を通して車両や運航管理システムの課題、システム要件などを洗い出す。

 ラストマイルのイメージはこうだ。鉄道の駅や観光地などに停留所を設置し、利用者はスマートフォンや専用端末などで自動走行車両を呼び出す。無人車両が乗客を目的地まで送り届け、再び別の停留所に向かう。無人車両による新しい移動サービスビジネスと言えるだろう。
「買い物弱者」を減らせ!

 経済産業省によると流通機能や交通網の弱体化により日常の買い物が困難な「買い物弱者」は全国におよそ700万人に存在するという。1000万人に達するのは時間の問題だ。一方、政府は観光先進国を目指して「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定、2020年に訪日外国人旅行者4000万人の目標を掲げる。

 訪日外国人旅行者がストレスなく快適に観光を満喫できる環境を整えつつ、高齢化などの社会課題を解決する手段としてラストマイルは極めて有効だ。ここで重要になるのが「事業性」と「社会受容性」だ。

 日立市の実証では日立電鉄線の廃線跡に開業されたBRT(バスラピットトランジット)を利用し、自動走行技術を採用した小型バスを運行する計画。高齢者や学生の交通手段となっているが、継続していくには運営コスト低減が必要だったという。運営主体と地域住民がともに満足できることがラストマイル普及の鍵を握る。

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最終更新:6/17(土) 14:27
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