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「ワームビア氏、深刻な脳損傷の理由は北の説明と異なる」「虐待の痕跡は発見できず」

6/17(土) 7:06配信

ハンギョレ新聞

医療陣「ワームビア氏は覚醒しているが反応しない状態」 脳損傷の理由は分からず 米国の北朝鮮専門家「状況複雑に…3人を追加解放しても対話再開は厳しい」 NT「北朝鮮と交渉しようとするトランプ行政府は戦略変えないだろう」

 北朝鮮に17カ月間抑留され、13日(現地時間)に昏睡状態で帰国した米国の大学生オットー・ワームビア氏(22)が、深刻な脳損傷を負っていることが明らかになった。「昏睡状態の帰還」により米国の対北朝鮮世論が悪化している中、米朝関係に及ぼす影響に対する展望は交錯している。

 ワームビア氏が入院したシンシナティ州立大学病院の神経科専門医のダニエル・カンター氏は15日、記者会見で「ワームビア氏の神経の状態は『覚醒しているが反応しない状態』と表現できる」と説明した。彼は「ワームビア氏は自然に目を開き瞬きする。しかし、言葉も、自分が意図する動作もできない」と明らかにした。バージニア州立大学の3年生だったワームビア氏は、昨年1月に観光で訪問した平壌(ピョンヤン)のヤンガクド・ホテルで政治宣伝物を盗んだ疑いで逮捕された。

 カンター医師はまた、昨年4月に北朝鮮で撮ったワームビア氏の脳の磁気共鳴画像(MRI)写真を渡されたとし、ワームビア氏が脳損傷を負い何週か過ぎた後にこの写真を撮ったものと見られると発表した。ワームビア氏が1年以上昏睡状態に陥っていたという意味だ。

 医療陣は「ワームビア氏が(北朝鮮が説明した)ボツリヌス中毒症にかかったという証拠は何も発見できなかった」と明らかにした。しかし、身体的虐待や骨折の痕跡も発見されなかったとし、頭蓋骨と首の骨も正常だと分かったと話した。医療陣はワームビア氏が「すべての部位にわたる広範囲な脳組織の喪失を負った」としながら、これは若い人が心停止により脳への酸素の供給が中断された時に発生しうる症状だが、原因は断定できないと説明した。好転する可能性についても言及しなかった。

 ワームビア氏の父であるフレッド・ワームビア氏はこの日、記者会見を通じて「息子が長年野蛮な待遇を受けたことに怒りを感じる」とし、「北朝鮮には弁解の余地がない」と非難した。フレッド氏はまた、ドナルド・トランプ大統領が14日夜10時頃電話をかけて家族を慰労したと話した。フレッド氏は「本当に立派な通話だった」とし、「彼(トランプ大統領)はオットーを探し出そうとした。慈愛深く親切だ」と感謝を示した。

 北朝鮮専門メディア『38ノース』編集長のジョエル・ウィット氏(元米国務省北朝鮮担当官)はこの日、ワシントンでハンギョレなどに対し「ワームビア氏の事態で状況がより難しく複雑になった」とし、「北朝鮮が(現在抑留中の)米国人3人を追加で釈放しても、対話の再開は容易ではないだろう」と見通した。

 これに比べ、ニューヨークタイムズはトランプ行政府の対北朝鮮政策が北朝鮮との交渉を試みる方向に行くようだとし、「前職・現職の当局者らは、米国人1人に対し北朝鮮が酷使したことを理由にそのような戦略を変えそうにないと言っている」と紹介した。

 この新聞はトランプ行政府が対北朝鮮交渉の方に移動する理由について、中国が意味のある対北朝鮮圧迫を見せず、「中国役割論」に対する懐疑的な見方が政府内部から出ており、北朝鮮との対決よりも交渉に関心が高い文在寅(ムン・ジェイン)政府が韓国に登場したことなどを挙げた。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:6/17(土) 7:06
ハンギョレ新聞