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社説[「総理の意向」文書]再々調査で検証尽くせ

6/17(土) 9:30配信

沖縄タイムス

 松野博一文部科学相は15日、「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと書かれた記録文書が確認されたと発表した。

 政府の国家戦略特区制度を活用した「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡る内閣府側の発言である。5月の調査から一転、再調査で文書の存在が明らかになった。

 翌16日、今度は内閣府が調査結果を公表。国家戦略特区を所管する山本幸三地方創生担当相は、このような発言をした職員はいないことを確認したと述べた。 

 両者の言い分は食い違っており、どちらかが嘘(うそ)をついていることになる。なかった発言を記録に残すのは考えにくいというのが、世間一般の受け止め方ではないか。

 これまで政府は一連の文書の存在を認めず、真相究明に及び腰だった。

 最初から「怪文書」と切り捨てた菅義偉官房長官、前回調査で「存在は確認できなかった」と早々と収拾を図ろうとした文科省、調査に否定的だった内閣府、今となっては疑惑にふたをしようとしたとしか思えない。

 世論に押し切られる形で文科省が着手した今回の再調査では、民進党などが入手した19文書のうち14文書が省内にあったことが確認されている。

 「存在しない」としていた文書が確認されたのだから、政権へ不信感が募るのは当然だ。事実に向き合うことなく「怪文書」と切り捨てた責任は厳しく問われなければならない。

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 文科省の再調査では、萩生田光一官房副長官が獣医学部新設を認める要件の修正を指示したとする新たなメールも見つかっている。「広域的に存在しない地域に限る」との修正により、加計学園以外の申請が事実上不可能になったと指摘されている。

 この修正について萩生田氏は指示を否定、山本担当相は自らの判断で追加したことを明らかにした。

 不可解なのは調査に後ろ向きだった内閣府が文科省文書が出ると、半日で調査を終え結果を公表したことだ。

 文科省と内閣府の調査にこれだけ矛盾があるのだから、内容が本当なのか、忖度(そんたく)が働いていないのかきちんと検証しなければならない。

 国民は行政がゆがめられたのではないか、疑念を持っているのである。「文書は本物」と証言した前川喜平前文科事務次官の証人喚問を含め、関係者を呼び再々調査するのが筋である。

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 16日の参院予算委員会で山本担当相が、萩生田氏の指示があったとするメールの送信者を「文科省からの出向者で、陰に隠れ本省にご注進した」と非難する場面があった。

 自分たちにとって都合の悪い人物には、人格攻撃を加えるのが政権のやり方なのか。

 問題の核心は獣医学部新設で行政の公正公平が損なわれることがなかったかである。

 数の力による強引な国会運営で、国民の疑問は完全に置き去りにされている。逃げるかのように国会を閉じ、問題の幕引きを図ることは許されない。

最終更新:6/17(土) 9:30
沖縄タイムス