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住宅の土砂対策進まず 京都市、制度利用ゼロ

6/18(日) 8:41配信

京都新聞

 土砂災害防止法に基づき指定される「土砂災害特別警戒区域」(レッドゾーン)内にある人家などの安全性を高める対策工事で、自治体が出す補助金の利用が全国的に進んでいない。昨年度に始めた京都市はゼロ件。2014年に77人が犠牲になった土砂災害が発生した広島市でも同様の制度の利用は1件もない。レッドゾーンの指定自体は近年進んでいるが、対策工事に踏み出すまでにはハードルがありそうだ。
 同法は、崖崩れや土石流、地滑りの恐れがある地域を土砂災害警戒区域(イエローゾーン)と定めている。同区域内で、建築物が損壊し、住民の生命に著しい危害が生じる恐れがある場合をレッドゾーンとする。
 京都府内では16年度末時点でイエローゾーンが1万6446カ所、レッドゾーンは1万3828カ所ある。基礎調査で両ゾーンに相当すると指摘された未指定区域は、14年度時点でイエローゾーン4281カ所、うちレッドゾーン3521カ所あったが、その後に85%は指定が完了した。
 従来は「指定で地価が下がる」と住民の反対が強かったが、土砂災害防止法改正で基礎調査の結果も公表を義務付けられ、「ゾーン指定と同じ効果があり、住民の抵抗感が薄れた面もある」(府砂防課)。
 補助制度は14年度に創設された。対象となるのは、レッドゾーン指定時にすでに存在している建物で、土砂災害の衝撃に耐えられないとされる場合。「後から規制がかかったことによる不利益を緩和する」(国土交通省)ためで、建物の所有者らが行う鉄筋コンクリート造の外壁や防護壁の工事費の23%を助成する。助成額を、国と自治体が半額ずつ分担する。
 京都市内の対象建物は数千軒とみられる。1棟で最大75万9千円まで補助するが「いまだ利用はゼロ」(市建築安全推進課)。今年から補助金制度を説明するパンフレットの各戸配布を始め、本年度中に完了する予定で、「周知が進めば利用がある」と期待する。
 これに対し、山際に自宅がある京都市左京区の男性は「崩れるのは山。対策工事は山の持ち主がまず行うべきではないか。この金額で補助金と言われても、工事は難しい」と納得できない様子で語る。
 京都市と同じ16年度開始の堺市も利用はゼロ件。15年度から補助金制度を始めた広島市も利用実績はなく、同市の担当者は「個人の財産が対象のため、補助額は多くない。14年の土砂災害に遭っていない他の地域では危険性への意識も薄い」と厳しい現実を打ち明ける。

最終更新:6/18(日) 9:00
京都新聞