ここから本文です

AIIB、政府・与党内で早期参加論 拙速な決定は中国利する恐れ 統治や融資能力に懸念

6/19(月) 8:15配信

SankeiBiz

 日本政府は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を見送っている。公正なガバナンス(統治)や融資能力などに懸念があるためだ。政府・与党内では早期参加を求める声も出ているが、拙速な決定は国民の理解を得られないだけでなく、中国を利することになりかねない。

 日米主導のアジア開発銀行(ADB)は融資の最終決定などを行う加盟国の理事がフィリピンの本部に常駐しているが、AIIBは北京の本部に常駐していない。融資についても、債券市場の信用格付けの取得が遅れ、資金を外部から調達できないため、資本金を取り崩して実行している。職員が十分に集まらず、ADBの案件に協調融資を行うケースも目立っている。

 与党からは「遅れないうちに対応する心構えが必要」(自民党の二階俊博幹事長)などと早期参加を求める声が出ており、政府の一部にも参加に前向きな意見がある。トランプ米大統領は中国との関係改善に意欲を見せており、日本が遅れることへの警戒感もある。

 だが、国際金融筋は「トランプ政権がAIIB参加について議会や世論の同意を得るのは容易ではない」と指摘する。日本と同様、参加には出資金が必要で、税金から支出しなくてはならないためだ。

 北朝鮮が国際社会の制止を振り切って核・ミサイル開発を続ける中、日米は協力して、北に影響力を持つ中国に対応を迫る必要がある。AIIB参加をめぐって日米の足並みが乱れれば、こうした連携にも水を差しかねない。

 AIIBは習近平政権の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を金融面で支える。同構想について、政府関係者は「経済的に協力すればいいという単純な話ではない」と警戒する。中国はインド洋周辺諸国の港湾整備などを支援する一方で、自国艦艇を寄港させるなど軍事的な野心を隠していないためだ。

 AIIBの参加に際しては、政府は実態や中国の意図を注意深く見極めつつ、慎重に対応することが欠かせない。(田村龍彦)

最終更新:6/19(月) 8:15
SankeiBiz