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AKB48総選挙、終了。NMB48・須藤凜々花「結婚(爆弾)宣言」への肯定とこれからのAKB48に思うこと

6/18(日) 17:08配信

M-ON!Press(エムオンプレス)

■おぎゆかインパクトもかすむ「無観客試合」

5月31日に発表された速報にてNGT48の荻野由佳がまさかの1位を獲得。争点のないイベントに、盛り上がりにつながる一縷の光が……なんて気持ちは、6月16日の公式発表で一気に消し飛んでしまいました。

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沖縄の野外で行われる予定だった「AKB48 49thシングル 選抜総選挙」(以下総選挙)の開票イベントは、荒天が予想されるという理由でまさかの中止に。無観客で開票が行われるという前代未聞の事態となってしまいました。

しかもその過程で「沖縄の梅雨時に野外でやるのに、こういった状況に対するリスクヘッジが全然できていなかった」という運営サイドの混乱が白日の下に晒されてしまい、グループの中心である指原莉乃からは「【速報】スタッフ、頼りない。」などとツイートされてしまう始末。

他のメンバーからも不満の声が噴出するなど、異常事態のなかで開票当日を迎えることとなりました。

これまでもこのグループの運営のまずさは各所で指摘されてきたことではあり、むしろその不具合に対してメンバーがどう反応するかということ自体をエンターテインメントに昇華させてきた側面もありましたが、今回はさすがに取り返しのつかないことが起こってしまったという印象が拭えません。数年後振り返ったときに、「あの時のイベント中止がグループの分岐点だった」と言われることがないと良いのですが……。

■「次世代48」の輪郭は見えたか?

指原莉乃が結果的には盤石の3連覇を達成して総選挙からは身を退くことを改めて表明、2位の渡辺麻友が卒業を発表。前述したような裏側のドタバタとは関係なく、今年の総選挙はひとつの時代の終わりを感じさせるものとなりました。

そんななかで「次世代のAKB48を担う存在が登場するか」というのが今年の見どころだと本サイトでのイベント前の原稿で触れさせていただきましたが、その観点で見ると今回の総選挙は「未来の48グループの輪郭をさらにあやふやにさせる結果に終わった」ということになるのかなと思います。

何より、次の48グループを担うであろう本店の若手の伸び悩みはなかなか衝撃でした。すでにシングル曲でのセンター経験もある向井地美音が17位とまさかの選抜落ち、いよいよ初選抜か? と言われていた小嶋真子も24位。大きな飛躍も期待されていた込山榛香に至ってはまさかの52位。すでにグループのリーダー格となりつつある高橋朱里と岡田奈々がそれぞれ11位、9位と気を吐いたものの、全体的には停滞を印象づける格好となってしまったように思います。

一方で、派手な躍進を果たしたのがNGT48。速報をトップでぶっちぎったおぎゆかが5位に踏みとどまり、13位の本間日陽とともに選抜の椅子をゲット。アンダーガールズにも中井りか(23位)と高倉萌香(25位)の両センター経験者を送り込み、大きな存在感を見せました。自身も自己最高の10位に入った北原里英を中心にチームワークを高めているこのグループが、48再編の台風の目となるのでしょうか(ちなみにきたりえのスピーチには圏外だったNGT48のメンバーの多くも涙を流していました。この方のリーダーシップは素晴らしいですね)。

また、吉田朱里(16位)、白間美瑠(12位)、惣田紗莉渚(8位)、古畑奈和(14位)と初選抜入りを果たしたメンバーからはNMB48とSKE48の充実ぶりが伝わってきます。

やはり今後も48全体の枠組みは地方グループの存在によって形作られる、と結論付けられても文句が言えないような形で終わったのが今年の総選挙でした。個人的にはこの波にあまり乗れなかったように思えるHKT48が気になります。以前は「一番元気のある地方グループ」といった趣だった気がするのですが……宮脇咲良(4位)に続く存在がなかなか見えてこないのがしんどいです。

■NMB48・須藤凜々花のあの発言をどう捉えるべきか

順位周りではここで触れた以外にもいろいろなことがありましたが、なんと言っても今年の総選挙に関してはNMB48の須藤凜々花による「結婚宣言」を触れないわけにはいきません。

20位とジャンプアップを果たした彼女のスピーチは、グループへの感謝から「初めて人を好きになることができました」「私、NMB48の須藤凜々花は結婚します」という誰も予期していなかった言葉に流れ着きました。

その直後に彼女絡みの恋愛スキャンダルが報じられたこともありその先手を打ったのではという話もありますが、背景はどうあれ「恋愛禁止」が実質的にルール化しているグループのメンバーがファン投票の結果を発表する場でこんな発言をするのは間違いなく異例です。

この件については、48グループおよび彼女への関与度(もしくはアイドルカルチャーそのものへの関与度)によって捉え方がだいぶ異なると思います。最初に表明しておくと、自分のスタンスは「おめでとう、というより面白い!」です。

元からトリックスター的な発言が魅力的だった彼女が、その特性と向き合いながら、かつ自身のピンチに直面したタイミングで人生における大きな決断をやってのける。なかなかこんなことはできないと思いますし、「総選挙のスピーチはインパクト勝負」というこのグループの鉄則に最も忠実だったメンバーとも言えると思います。

もちろん否定的な反応をする人たちがいるのもよくわかります。普段はアイドルになんの興味もないのに突然「ファンの気持ちをなんだと思っているんだ!」などと言いだす人たちは置いておくとして(この手の「なんでもいいからひとこと言いたい」人たちは総選挙前後の風物詩ですね)、実際に大量投票した人たちが「気持ちを踏みにじられた……」と感じたとしても仕方のない部分はあると思います。

また、今後グループを仕切っていくことになる高橋朱里と岡田奈々としてはあの発言を肯定するわけにはいかなかったからこそスピーチではっきりと苦言(もしくはそう解釈できる発言)を呈したのでしょうし、ゼロからグループの礎を築いてきたOGたちが「大事な場所を私的なことで汚された」と感じてネガティブな言動をとるのも理解できます。

あのくだりの途中で映し出されたまゆゆのドン引きした表情も印象的で、彼女にとってこのイベントがいかに大事なものであるかがよく伝わってきました。

ただ、忘れてはいけないのは、AKB48というグループには「ここを踏み台として次の道を見つけるためのステップ」という機能もあるということです。AKB48のために、もしくはファンのために頑張っているそれぞれのメンバーは、その一方で「自分自身がこの先どう生きていくか」を考えることも求められます。

そして、その結果各人が辿り着く答えを制限することは誰にもできません。いろいろな葛藤を経てりりぽんの出した結論が「あの場で結婚を発表する」ということであれば、それは尊重されて然るべきことなのではないかと思います(同様に、「それがグループ全体にどう影響するか」という公の立場からりりぽんを批判するメンバーの立場も尊重されるべきもののはずです)。

今回の総選挙は、「AKB48とは何なのか?」「メンバーを<推す>とはどういうことなのか?」という哲学的な問いを改めて投げかける形となりました。「哲学好き」として知られているりりぽんらしい問題提起だったように思います。

この件はかなりいろいろな論点を孕んでおり、ここに書かせていただいているのも総選挙翌朝時点での結論ですので、来年の今頃には少し意見が変わっているかもしれません。このあたりは48グループを好きな人たち皆で継続的に考えていきたいところです。



■最後に、マイ推しメンの短評を

今年は8票投票しましたので、それぞれのメンバーがどんな状況だったかを振り返って終わりにしたいと思います。

20位 NMB48 須藤凜々花
というわけで、いつでも独自の角度から一石を投じてくる彼女に魅力を感じて投票した自分としては、今回の話題提供は「よくやった!」という感じです。

5位 NGT48 荻野由佳
野次馬票を投じました。突如こんなポジションになってしまったのにスピーチが立派で感動しました。

9位 AKB48/STU48 岡田奈々
次世代のリーダーとしての自覚をひしひしと感じさせるスピーチでした。まとめ役となるメンバーにアイドル的な人気もちゃんとついているのは素晴らしいことだと思います。

24位 AKB48 小嶋真子
またも選抜入りならず。事前のスキャンダル(とも言えないようなちょっとした話でしたが)が影響したのかもですが、もうひと山越えるのに何が必要なのか……。

35位 HKT48 /AKB48 朝長美桜
いくらなんでもちょっと低すぎでは? 「幼さが魅力」というメンバーが年を重ねていくことの難しさ(そしてそういった属性のアイドルを推すファンのドライさ)を実感しました。

80位 HKT48 松岡はな
祝ランクイン! HKT48復活のカギを握っているメンバーのはず。超期待しています。

26位 SKE48 大場美奈
ぱるるに入れるはずだった1票を同期の彼女に投じました。目標だった選抜入りを逃した悔しさと今後への決意を語るスピーチは、この日の80人のなかでいちばんよかったと思います。

圏外 SKE48 菅原茉椰
ビジュアルに惹かれて投票したのですが名前は呼ばれず。SKE48の若手で組まれたユニット「ラブ・クレッシェンド」のメンバーで圏外は彼女だけでした。来年こそは。

上位陣の順位の安定ゆえに物足りなさはありつつも、いつもとは少し異なる読後感を残した今年の総選挙。来年以降このイベントがどうなるか、ひいては48グループがどうなるのか、引き続き注目していきたいと思います。

TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)