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障害者も読みやすいLLブック出版 物語想像し会話を

6/18(日) 14:07配信

神戸新聞NEXT

 知的障害や自閉症などの人らのため、写真や絵記号で構成するなど、読みやすいように工夫されたLLブック「はつ恋(こい)」(樹村房)が出版された。企画者の一人、大和大学保健医療学部(大阪府吹田市)の藤澤和子教授に、親や支援者らはどう活用したらいいのかについて聞いた。(鈴木久仁子)

 LLブックはスウェーデン発祥で、海外では教育現場でも広く使われているという。藤澤教授は「中学校や高校でも広めていきたい」と話す。

 今作は「わたしのかぞく なにが起こるかな?」(2015年)に続く第2弾。兵庫県立ピッコロ劇団(尼崎市)の風太郎(ぷうたろう)さんが制作に協力し、出演もした。

 「はつ恋」は、ストーリーを写真だけで展開する。前書きには「読(よ)むことがむずかしい人に、読(よ)みやすくわかりやすく作(つく)られた本(ほん)です」と、ルビをふって書かれている。

 目次にはピクトグラムといわれる絵記号が記されているので、字が読めなくても、どんな内容の章なのか分かる。1章は、海と男女の2種類の絵記号で、「海でであう」ことを表現している。藤澤教授は「文字より、絵の方が理解しやすい人のためにつけた」という。

 夏の浜辺で出会った2人は引かれ合い、デートし、冬のクリスマスでハッピーエンドを迎える。進展していく恋の物語を7章に分け、それぞれを5、6こまの写真でつづる。

 「4こま漫画のように思ってもらえれば分かりやすい。動きや表情で話が分かる写真を並べているので、『なんて言っているのかな』と写真を挟んで会話をしてほしい」

 支援者は先走りで絵の説明をするのではなく、利用者が話し始めるのを待ち、「うれしそうな顔だね。なぜだろう」などと、登場人物の気持ちを想像して会話をするのがこつという。「文字はないので答えはない。一方通行ではなく、双方のやりとりができるのがこの本の良さ。ゆっくりじっくり味わってほしい」

 また、教育現場では写真をコピーして並べ、登場人物たちの会話を吹き出しで書いてみるといいという。「ただめくるだけでなく、言語化する力を養い、自分の世界に広がりができる」と、藤澤教授は話している。

 今回、写真の演出を手がけた小安展子さん(Arawas Factory)は、「どのカットも印象的に、分かりやすく、自然に」と心を砕いた。風太郎さんは、何度もリハーサルをして出演者の細かいポーズや動きを確認、小安さんと、より伝わりやすいカットを目指したという。

 B5判90ページ。1728円。書店で販売中。樹村房TEL03・3868・7321

 【LLブック】LLは、スウェーデン語の「やさしく読める」という言葉の略語。北欧を中心に普及し、知的障害者のほか、高齢者や移民、認知症の人にまで対象が広がっている。「わたしのかぞく なにが起こるかな?」は初版千部を完売、重版となった。「障害者差別解消法」の観点からも、広い理解と支援が求められている。

最終更新:6/18(日) 14:52
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