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<禁忌薬処方容認へ>治療と妊娠、両立へ道 難病女性に光

6/18(日) 7:35配信

毎日新聞

 厚生労働省が、妊娠中は使用できないとされている一部の医薬品を使えるようにする方針を固めた。患者からは「難病女性の人生の選択肢が広がる」と期待の声が上がる。

 「報われたね」。夫の言葉に涙が止まらなかった。膠原(こうげん)病を患う神奈川県の主婦(42)は、4月に初めての子を出産するまで10年間、闘病と妊娠の両立に苦しんできた。

 26歳で発症し、32歳で結婚。妊娠を希望して抗リウマチ剤の服用をやめ、別の薬を使うことに。身動きが取れないほどの痛みや副作用に悩まされ、入院や実家での生活を余儀なくされた。症状が安定した後、妊娠したが初期流産。「年齢的に時間がない」と薬の服用を我慢して再び妊娠したものの、ほとんど寝たきりで再び流産した。「地獄のような日々でした」と振り返る。

 しかし、別の医師が禁忌の説明をしたうえ「タクロリムス」などを処方したところ、症状は改善。医師の勧めで国立成育医療研究センターに転院した。「妊娠と治療、どちらも諦めなくていいと思え、心が楽になった」。41歳で自然妊娠。「痛くなっても手段はあるから」という医師の言葉が心強かった。薬を調整して症状を抑え、無事出産した。「医師によって人生が大きく変わる。妊娠の希望に沿った積極的な治療が広がれば」と願う。

 5歳の娘を持つ東京都内の介護施設職員の女性(35)は、28歳で膠原病を発症。「シクロスポリン」を投与されていたため、主治医から「妊娠は5年後まで待つように」と指導された。しかし30歳で予期せぬ妊娠が判明すると、産婦人科で「5年後まで待っていたら病気で体が衰えて妊娠自体が難しかった」と言われた。女性も「難病女性が安全に妊娠する道が開ける」と期待する。

 患者団体「全国膠原病友の会」の森幸子代表理事は「病気ゆえに結婚差別や離婚に遭ったという相談がたくさんある。選択肢が増えることを歓迎したい」と評価する一方、「どんな薬にもリスクはある。適切に情報提供した上で症状や希望に応じて処方できる専門医のもとで使われることが大前提」と注文する。【中川聡子】

最終更新:6/18(日) 10:28
毎日新聞