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<愛媛地方税滞納整理機構>攻めの徴収で滞納抑制にも効果

6/18(日) 9:05配信

毎日新聞

 攻めの税徴収で滞納の「ごね得」や「逃げ得」を許しません--。少子高齢化などで自治体財政が厳しさを増し、主な財源となる地方税収入が重要になる中、市町で滞納された税を徴収する事務組合「愛媛地方税滞納整理機構」(松山市一番町4)の取り組みが成果を上げている。設立から11年間の徴収累計額は約48億9000万円。昨年度の徴収率は目標としていた40%を大幅に上回り、過去最高の62.7%となった。【花澤葵】

 愛媛地方税滞納整理機構は県内全20市町で構成し、人員や専門性から市町単独では徴収が困難な滞納事案を引き受ける「滞納整理の専門機関」だ。

 バブル経済の崩壊による景気悪化などで深刻化していた税滞納への対策を強化しようと2004年、先進的な取り組みを始めた茨城県内の例を参考に「愛媛地方税整理回収機構設立検討会議」を設置。1年間の準備期間を経て、06年4月に茨城、三重に次ぐ全国で3例目となる全市町参加の事務組合形式の機構が発足した。

 県や市町から派遣された職員以外に、県警OB、税徴収に詳しい弁護士や国税局OBなども所属し、市町から移管された悪質滞納者らの債権回収(滞納された地方税の徴収)に当たっている。不動産や預金、給与などの財産を差し押さえたりして、債権を回収する。

 発足から昨年度までに市町から機構に移管された地方税滞納額は計91億835万円に上る。機構はそのうち計48億9118万円を徴収した。昨年度は移管された5億2821万円のうち、市町県民税1億4789万円、固定資産税1億2979万円、国民健康保険税1億2886万円など計4億1501万円(徴収率62.7%)を徴収した。徴収率は増加傾向にある。

 機構に対し、「徹底して(滞納税を)徴収され、怖い」とのイメージを持つ滞納者は少なくない。

 市町が督促を重ねても納付しなかったのに、市町から「債権を機構に移管する」と予告されると納付する滞納者も多く、昨年度までの納付額は計36億7033万円。納付誓約額も計52億5801万円あり、これらを合わせた機構の「間接効果額」は計89億2835万円に上る。機構が徴収する「直接効果」だけでなく、機構の存在が税滞納の抑制にもつながっている。

 機構では、蓄積した徴収ノウハウを市町にも生かしてもらおうと、市町の税務担当職員への実務研修も開いている。さらに、これまで機構が取り組んできた徴収事例をまとめた検索システムを構築中といい、来年度からの運用を目指す。

 機構の大野定武事務局長(57)は「税金は私たちが受ける行政サービスの根幹で、個々の能力に応じて負担を分かち合わなければいけないもの。今後も徹底して滞納税の徴収に取り組んでいく」と話した。

最終更新:6/18(日) 9:05
毎日新聞