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<育休>1年間取得の男性が新規事業を起こせた理由

6/18(日) 9:30配信

毎日新聞

 厚生労働省は5月30日、2016年度の雇用均等基本調査(速報版)を公表しました。育児休業を取得した男性の割合は3.16%で、前年度比0.51%の上昇でしたが、政府が目標とする「20年までに13%」には遠く及びません。あるIT企業で育休取得を成果につなげた男性のケースを、ITコンサルタントの細川義洋さんが紹介します。【毎日新聞経済プレミア】

 ◇育休を取る部下に上司ができること

 「しっかり働いて家族を食べさせる」といった考えを持つ男性は、育児のために仕事を数カ月以上休むことをためらうでしょう。育休を取ることで、その間の収入や復帰後のキャリアに不安を持つ人も少なくありません。

 厚労省は、男性が育休を取りやすい環境作りを支援するため、一定期間連続して育休を取得させた事業者に「両立支援助成金」を出したり、育児復帰支援プラン策定を支援したりしています。今後も徐々に改善していくでしょう。

 しかし国が支援策を打ち出しても、肝心の職場が制度や環境を提供できなければ、男性の育休取得率向上には結びつかないと思います。

 育休を取りたい男性部下がいる場合、上司にはどんなことができるでしょうか。仕事の引き継ぎや、会社を離れることと復帰後のキャリアへの不安に対する具体策は、会社と上司の対応にかかっています。

 ◇育休中に身に着けた技術で復帰後に新規事業

 あるIT企業で、育休の取得を成果につなげた上司と男性部下がいます。ITエンジニアの部下は、妻の妊娠がわかった時点ですぐに上司に報告し、1年間の育休を取ることも伝えました。妊娠初期だったので育休取得までには時間がありました。

 報告を受けた上司は、部下の業務を洗い出してチーム内で共有し、他のメンバーに業務を振り分けたり、顧客を引き継いだりしました。また、会社や国の支援制度、復帰後のキャリアなどについて何度も説明し、休業する部下の不安を減らすよう努めたそうです。

 休業中は、部下の自宅のパソコンから社内システムにつなげるようにし、頻繁に連絡を欠かしませんでした。復帰後に元の業務にすぐ対応できるよう、テレビ会議システムを通じてチームのミーティングに参加してもらうなど、手厚い支援をしていました。

 そのため、この部下は育休中も担当していた業務の進み具合を把握していたばかりでなく、独自に技術向上のための勉強をしたり、資格を取得したりして会社に復帰しました。復帰後は、通常業務に加えて、新たに身に着けた技術を生かして新規事業を起こしたそうです。

 ◇支援制度の内容と成功事例を部下に伝えよう

 この部下の成功は、会社と上司の手厚い支援なしにはなかったでしょう。冒頭の厚労省の調査でも、この部下が会社から受けた支援と同じようなことが、育休を取得した男性社員の2割弱に行われていることがわかっています。

 育休取得者に対する支援の仕組みが各社内にあれば、より多くの人が自分の希望に合わせた選択をできることでしょう。上司としては、会社や国の支援制度や育休の成功事例を、部下に伝えておくことも大切です。

 最後に、別の上司が育休取得直前の男性部下に伝えたことを紹介します。強く印象に残っている言葉です。

 「君はこれから会社を休むが、社会人を休むわけではない。子供を育てるのは社会にとっても大切な仕事だ。そのことに男としての誇りを持ってほしい」

最終更新:6/18(日) 9:30
毎日新聞