ここから本文です

米FRB、危機対応、総仕上げ=超低金利から脱却

6/18(日) 7:30配信

時事通信

 米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを決め、金融危機で「非常事態」として続けてきた0%台の超低金利から8年半ぶりに抜け出した。米景気は緩やかに回復し、危機対応をやめる最終段階に来ている。

 ―危機対応とは。

 2008年の米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻を契機に、米国は深刻な景気悪化に陥った。FRBは景気の底割れを防ぐため、史上初めて金利を事実上のゼロに下げると同時に、世の中に出回るお金の量を増やす緊急措置を取ったんだ。

 ―どうやってお金の量を増やしたの。

 FRBが市場で国債や債券をどんどん買って、代金を銀行に払った。出回るお金の量が増えれば金利が下がってお金を借りやすくなり、景気を刺激できる。量的金融緩和と呼ばれる金融政策で、日銀も取り組んでいる。FRBが買いためた国債などの資産は現在、約4兆5000億ドル(約500兆円)に膨らんでいる。

 ―緊急措置を続けると問題なの。

 低金利が効いて米国経済は緩やかに持ち直し、株価は史上最高値圏だ。ただ放置すれば景気が過熱する恐れがある。そうなると、急激に金利を上げなくてはならず、景気に冷や水を浴びせることになる。国債などは金利が上がると価値が目減りするので、FRBが大損するリスクもある。

 ―だから危機対応をやめるんだ。

 FRBは15年末、米景気が回復していると判断し、9年半ぶりに利上げを始めた。4回目となる今回の利上げで0%台の超低金利を脱した。年内には巨額の資産減らしに着手し、金利がさらに上がるようにする。金利の上げ下げで景気のかじ取りができるようになることを、FRBは「政策の正常化」と呼んでいる。

 ―資産の減らし方は。

 金融市場への影響に配慮し売却はせず、満期が来た国債などを徐々に減らしていく。1年目は3000億ドル、2年目以降は年間6000億ドル減らす計画だ。資産を最終的にどれくらい残すか決めていないが、縮小の取り組みは数年かかる見込みだ。

 ―リスクはないの。

 FRBのイエレン議長は「市場が十分備えられるよう、周到に事前通知する努力をしてきた」と話している。でも、13年にバーナンキ前議長が国債などを買うのをやめると示唆した際、世界の金融市場はパニックになった。今までやったことがない取り組みだけに、油断はできないね。

 ―世界への影響は。

 FRBは、米経済には危機から「出口」に向かい、金利上昇に耐えられる体力が付くと想定している。そうなれば日本経済にも追い風になりそうだ。しかし、物価上昇の勢いに弱さが見られるなど心配もある。シナリオが外れれば、世界経済に混乱をもたらす可能性もある。
◇米FRBの金融危機をめぐる対応
2007年 8月 住宅ローン問題で市場混乱
      9月 利下げ開始
  08年 9月 リーマン・ブラザーズ破綻
     11月 量的金融緩和策を決定
     12月 ゼロ金利導入
  10年11月 量的緩和・第2弾
  12年 9月 量的緩和・第3弾
  14年 1月 量的緩和の資産購入額を縮小
     10月 資産購入を終了
  15年12月 ゼロ金利解除し、利上げ
  16年12月 追加利上げ
  17年 3月 追加利上げ、資産の縮小議論
      6月 追加利上げ、資産の年内縮小発表
(ワシントン時事)

最終更新:6/18(日) 7:34
時事通信