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いまや国会議員も多用 「1ミリも…ない」の語源と意味

6/18(日) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 年のせいなのか。「1ミリも○○ない」という言い回しが耳障りでならない。見てきた映画が残念で「1ミリも泣けなかった」と嘆いたり、他人の意見に「1ミリも共感できない」とぶつけたり。主に否定的な表現に使われる。

 もちろん、ミリは長さを表す単位のミリメートルの略。ミリそのものはラテン語で1000を表す“mille”が語源だという(広辞苑)。物理的な単位を目に見えない理解や感情に用いることに違和感があり、なんとなくバカにされているような……。

 現代の日本語表現に詳しい梅花女子大学の米川明彦教授が言う。

「若者が会話のノリを楽しむための大げさな強調表現です。最新の表現なので、『現代用語の基礎知識』にも掲載されていません」

 ルーツは不明だが、米川教授の著書「若者ことば辞典」(1997年・東京堂出版)には「1ミクロン」という言葉が紹介されている。

「『1ミクロンも心配してあげへん』など、やはり否定に使います。1ミクロンの方がより小さいので大げさですが、語呂が悪く、長い。今では使われなくなりました」

 この種の表現として古くは「一文にもならない」「一糸もまとわず」「一抹の不安」などがある。一文は貨幣の単位、一糸は細い一本の糸、一抹はひとはけ、ひとなすりの意味。

「若者は会話を楽しむために、ノリ、テンポを大事にし、笑いを入れようとするので、1ミリも○○のような大げさな表現が生まれるのでしょう」

 ところがいい大人の中にも、「1ミリも○○」を多用する人がいる。例えば、自民党の保岡興治改憲推進本部長は、今月12日の会合で9条の政府解釈について「1ミリも動かさない」と発言している。ノリやテンポ、笑いを優先して憲法論議をされたら、国民はたまらないが……。

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