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<ニホンライチョウ>人工繁殖で2羽ふ化 環境省事業で初

6/18(日) 19:35配信

毎日新聞

 富山市ファミリーパーク(富山市)と環境省は18日、国の特別天然記念物で絶滅の危機にあるニホンライチョウの人工繁殖事業でひな2羽がふ化したと発表した。人工繁殖のふ化は1998年の大町山岳博物館(長野県大町市)以来、19年ぶり。環境省などが実施する事業としては初めて。飼育や繁殖技術の確立が目的のため一般公開は予定していない。

 同パークによると、ひなは17日午後11時15分と同41分にふ化した。体長はいずれも約6.5センチ、体重は17.1グラムと15.6グラムで性別は不明。2羽とも「ピッピッ」と鳴き、元気に動いているという。

 ニホンライチョウは北アルプスや南アルプスなどの高山帯に生息。環境の悪化から近年は2000羽以下に減少し、環境省レッドリストで絶滅危惧1B類に分類される。

 環境省などは種の保存のため、北アルプス・乗鞍岳で2015年と16年に卵計22個を採取。成鳥に育った14羽(雄11羽、雌3羽)を、同パークと大町山岳博物館、上野動物園(東京都台東区)の3園で飼育し、今春から各園で交配を試みた。同パークで雌1羽が5月20日以降、計19個の卵を産んだ。8個が受精卵と確認され、うち2個が今回、ふ化した。

 同パークの石原祐司園長(57)は「よくぞ生まれてきてくれた。一つの通過点でライチョウの種の保存に向けて頑張っていきたい」と話した。【青山郁子、上野宏人】

 ◇飼育方法など課題山積

 19年ぶりに、人工繁殖によるふ化に成功したニホンライチョウ。環境省は産卵からふ化、成鳥までのサイクルを人の手で完結できる技術の確立を目指すが飼育は難しく、課題を抱える。

 ニホンライチョウは、北アルプスなどの高山地帯にすむため、低地の細菌やウイルスなどへの抵抗力が弱い。このため、人工繁殖では温度や湿度の管理のほか、衛生管理がカギを握る。1963年から人工繁殖に取り組んでいた大町山岳博物館(長野県)では、ひなや成鳥が胃腸の感染症で相次いで死に、2004年に事業を凍結した経緯がある(昨年再開)。

 人工的に成鳥に育てたとしても、食べ物の毒素を分解する腸内細菌が野生種と異なるため、そのまま野生に戻すことはできない。このため、腸内細菌を野生種に近付ける飼育方法の開発も課題で、試行錯誤が続く。富山市ファミリーパークの担当者は「当面は失敗も含めたデータの蓄積が必要になる」と話す。【五十嵐和大】

最終更新:6/18(日) 21:35
毎日新聞