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コール元独首相死去 「偉大な欧州人」世界から悼む声

6/18(日) 7:55配信

産経新聞

 【ベルリン=宮下日出男】ドイツのヘルムート・コール元首相が16日に死去したことを受け、ドイツをはじめ世界各地に哀悼の意が広がった。東西ドイツ統一と欧州連合(EU)創設に尽くし、大きな功績を残した「偉大な欧州人」に思いをはせ、近年きしみをみせる欧州統合の再生を願う声も上がっている。

 「私の人生を決定的に変えた」。ドイツのメルケル首相は16日、訪問先のローマで訃報に接し、急遽(きゅうきょ)、声明を発表した。旧東独出身のメルケル氏にとってコール氏は政治の恩師だけでなく、統一によって「自由」をもたらした存在。「頭が下がる」と謝意を示した。

 コール氏は統一ドイツと欧州統合は「一対」のものとみなし、その推進に邁進(まいしん)した。メルケル氏はコール氏が「2つの目標に誰よりも貢献した」と評し、「偉大な欧州人、統一宰相としてわれわれの記憶に生き続ける」と語った。

 コール氏は晩年、不正献金疑惑で批判にもさらされたが、国内では政治家が党派を超え偉業をたたえた。テレビは特番を組み、各紙は「偉大な首相」などと報じた。死去をいち早く報じた大衆紙ビルトの記者はツイッターで「統一をありがとう」と記した。

 国外でもマクロン仏大統領が「統一ドイツと独仏友好の設計者」とツイッターで追悼。統一と冷戦終結をともにしたブッシュ(父)米元大統領は「良き友と協力できたことは人生最高の喜び」とし、ゴルバチョフ元ソ連大統領は「他者の利益を考慮し、相互信頼を成し遂げた」と平和的に統一を導いた手腕をたたえた。

 英国の離脱決定や反EU勢力の台頭で存続すら危ぶまれたEUは今、その立て直しに取り組む。欧州の首脳にはコール氏の死を統合の原点を振り返る契機にしたいとの思いもにじむ。

 マクロン氏はコール氏とミッテラン仏元大統領が1984年、第一次大戦の激戦地、仏ベルダンで手をつなぎ、独仏の和解を誓った写真も投稿。統合の牽引(けんいん)役としての両国の責任に思いを寄せた。ユンケル欧州委員長は「われわれもコール氏と同じ勇気と忍耐、覚悟をもって欧州の挑戦に取り組もう」と呼びかけた。

最終更新:6/18(日) 7:55
産経新聞