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米イージス艦衝突 海の難所でまたも惨事 回避義務・見張り焦点に

6/18(日) 7:55配信

産経新聞

 米海軍イージス駆逐艦がフィリピン籍のコンテナ船と衝突し、7人が行方不明になった事故現場の伊豆半島沖周辺は、幅の狭いルートを多くの大型船舶が航行する「海の難所」として知られており、政府が事故防止のための国際ルールの策定手続きを進めていた最中の悲劇となった。今後の調査や捜査では、回避義務がどちらにあったのかや、適切な見張りがされていたかが焦点となる。

 ◆ルール策定中

 「事故が起きた海域では1日平均約400隻が航行する」。事故を受けて17日、海上保安庁第3管区海上保安本部(横浜市)の三盃(さんばい)晃警備救難部次長はこう説明した。海保によると、東京湾から事故が発生した石廊崎(静岡県南伊豆町)沖を経て伊勢湾方面に向かうルートは、東京湾などに次いで船舶交通量が多い「準輻輳(ふくそう)海域」と呼ばれる海域だった。

 三盃次長によると、石廊崎の南東約20キロの海域は、タンカーやコンテナ船など、東京湾に出入りする大型船舶の航行が集中。東京湾への最短ルートになる伊豆半島と伊豆大島の間の幅25キロほどのルートを通るなどするため、過去にも事故が発生している。

 平成25年9月には、日本の貨物船とシエラレオネ船籍の貨物船が衝突し、日本船の乗組員6人が死亡。半年前の同年3月にも、負傷者はいなかったものの、韓国船籍の貨物船と日本漁船が衝突している。海上保安庁は衝突リスク軽減のため、伊豆大島西側の海域で、北上する船は東側、南下する船は西側を通る航路の設定を決定。国際的に統一された航路とするよう国際海事機関(IMO)に提案していた。今月16日の委員会で採択され、来年1月の航路設定が決まったばかりだった。

 ◆当直態勢は?

 ただ、今回の衝突事故が起きたのは、航路が設定される海域よりも南西側とみられる。通常の海域で適用される海上衝突予防法では、2隻の船が互いに進路を横切る場合、相手を右に見る船舶に回避義務がある。今回の事故では、イージス艦は右舷が大きく損傷、コンテナ船は船首左側に損傷があった。

 過去の事故では、どちらに回避義務があったかが重要なポイントになっている。20年、千葉県沖で海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船が衝突した事故の裁判では、あたご側に回避義務があったかどうかが争点となった。1審横浜地裁、2審東京高裁はともに「あたごに回避義務はなかった」と判断、いずれも当直士官だった3等海佐2人の無罪が確定した。

 海上自衛隊・元自衛艦隊司令官の香田洋二さんは今回の事故について、「東京湾方面を目指して並行して航行していたとすれば、見張りや当直態勢がどうなっていたかが重要だ」と指摘している。

最終更新:6/18(日) 10:25
産経新聞