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中国人の財布「スマホ」も緩む?!広がるキャッシュレス決済 1台でマルチ対応

6/19(月) 10:00配信

産経新聞

 クレジットカードや電子マネーによる支払いが多い訪日外国人を取り込むため、現金を使わないキャッシュレス決済を導入する商業施設・店舗が増えている。金融とITを融合したフィンテックの発達により、多様な決済手段に1台で対応できるマルチ決済サービスが登場してきたからで、三菱UFJニコスは安全性と高速処理を強みとするシステムを売り込む。ベンチャーのNIPPON PAY(ニッポンペイ、東京都中央区)は中国人が多く利用するスマートフォンを使った店頭決済サービスの採用を呼びかけ、大手飲食チェーンへの月内導入が決まった。

 「レジの決済スピードが上がり、ランチタイムの混雑緩和につながった」。東京タワー(東京都港区)に近く、在日中国人もよく利用する中華料理店「満州香」の店長、李松さんは満面の笑みを浮かべる。

 中国のアリババグループの支付宝(アリペイ)とテンセント(騰訊)の微信支付(ウィーチャットペイ)という同国で圧倒的に使われているスマホ決済サービスに対応できるアプリを4月に導入した。サービスを提供したのがニッポンペイだ。

 日本円やクレジットカードでの支払いではやり取りに時間がかかり、レジに列ができることもあった。しかし利用者がスマホでQRコードを提示し、店舗側がタブレットなどにインストールしたアプリで読み取れば決済が完了するため、お客を待たせなくなった。

 従来はアリペイとウィーチャットペイのそれぞれに対応するアプリが必要なうえ、中国人がどちらを利用しているかの判別に時間がかかった。レジの待ち時間削減のためのスマホ決済導入にもかかわらず、かえって利便性を低下させていた。

 ニッポンペイのアプリは2つのQRコードを自動で判別する機能を持っており、こうした問題を日本で唯一、解決できる。

 同社の續(つづき)仁社長は「中国ではスマホ決済を使えないお店を探すほうが難しいほど普及している。中国人をターゲットにするなら導入したほうがいい」と誘う。加盟店からは「海外客とのやり取りがスムーズになった」「小銭の計算でもたつかない」といった声があがる。SNS機能を持つウィーチャットペイを利用した場合、口コミ効果も期待できる。

 ニッポンペイは決済サービスの普及に向けて、丸紅グループのMXモバイリング(東京都江東区)と提携、代理店や取り扱い店舗を増やしていく。同社のほかにも約170社の代理店網を整備し、すでに200店がアプリを導入した。大手飲食チェーンなども申し込みを済ませており、6月には利用を始める予定で、年内には加盟店が1万に届きそうな勢いだ。

 2016年の訪日外国人旅行者は2403万人、このうち中国人は637万人。一方、旅行消費額は3兆7476億円で、中国が1兆4754億円と全体の4割を占める。「爆買い」が下火になったとはいえ、15年の1兆4174億円を上回った。リピーターや中間所得層の訪日が増え、日用品に関心を示すようになり、気に入った商品を日本の通販サイトから再度購入する越境電子商取引(EC)の利用も増えている。

 ニッポンペイは越境ECにも対応。ECショップ向けはアリペイ、ウィーチャットペイに加え、中国の「銀聯カード(ユニオンペイ)」も利用可能だ。この中国3大決済が利用できるサービスとして6月末から新たにメールリンク決済サービスを始める。電子決済サービスを持っていない医療クリニックやデザイナーなどが、訪日した中国人に面談・カウンセリングし、帰国後に見積書を提出し決済するような利用を見込む。

 「銀聯カードにも対応しているし、お客さまの目の前でクレジットカードを読み取るので不安を与えないですむ」。こう話すのはロイヤルパークホテル ザ 汐留(東京都港区)の副総支配人、善方健氏。

 13年の「ザ 汐留」への名称変更を機にシステムの入れ替えを検討していたとき、三菱UFJニコスがJR東日本メカトロニクスと共同開発したクラウド型マルチ決済システム「J-Mups」に出会った。

 カードのIC化に加え、加盟店の端末にデータが一切残らないというカード情報の非保持化にも対応しており、外国人が気にする決済の安全性が高いと判断、導入を決めた。

 中国で普及する銀聯カードや加盟店独自のポイントプログラムにも1台の端末で対応できるほか、訪日客がクレジットカード決済時に自国通貨で支払える「DCC決済サービス」を使えることも決め手となった。「為替変動に左右されず、その日のレートで安心して決済できる」(三菱UFJニコスの市川岳志法人業務部次長)と好評で、三菱UFJニコスは5月、対応通貨を10から19に拡大した。

 さらに据え置き型だけでなくモバイル型マルチ決済端末「BluePad-50」にもこうした機能を搭載。カウンターに立ち寄らずに店内で決済できるためスピーディーなうえ、お客の目の前でカード決済が完了するため安心を提供できる。機能を認めたKDDIは約2500のauショップに導入した。

 増え続ける訪日客を受け入れるには「安全・安心・快適な」キャッシュレス決済環境の整備が欠かせない。特に観光資源を抱える地方には「待ったなし」といえる。そのためにも複数の決済サービスを提供できるシステムの普及が求められる。これを機にキャッシュレス化が進展すれば、東京五輪・パラリンピックが開催される20年に訪日客4000万人という政府目標の達成にも追い風となる。(経済本部 松岡健夫)

最終更新:6/19(月) 10:00
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