ここから本文です

被災地で6年間奮闘、元市議会議員 大震災直後に移住

6/18(日) 8:16配信

福井新聞ONLINE

 「奇跡の一本松」で知られる岩手県陸前高田市に東日本大震災直後から移り住み、復興支援を続けてきた元福井市議の後藤勇一さん(57)=福井市=が6年間にわたる支援活動を終え、福井に戻った。後藤さんは活動を振り返りつつ「復興への道のりはまだまだ。第二の古里となった陸前高田をこれからも応援していきたい」と語った。

 東日本大震災が発生したのは、2期目の3月定例市議会の会期中だった。岩手県に住む友人と連絡がつかず現地入りを決意。2011年3月14日に岩手県に入った。17日からは被害の大きかった陸前高田市で支援活動を始めた。

 印象に残っているのは震災直後の半年間という。被災者の「不安」や「不便」の解消に奔走した。自衛隊に掛け合って高齢者が介助付きで風呂に入れる時間帯をつくったり、障害者が避難所ではなく、慣れ親しんだ施設で過ごせるように施設で食事を作ったりした。「目の前に困っている人がいたら助ける、ただそれだけ。それが喜びだった」と笑う。福井県からのボランティアが活動するための拠点づくりや障害者施設の支援にも取り組んだ。

 同年4月には福井市議選があったが、支援活動を優先し、3期目の出馬はしなかった。「迷いは全然なかった。ここ(陸前高田)でやらなきゃいけないこと、必要としてくれる人がいたから」

 頼まれたら断れない「何でも屋」。2年目以降も朝市の手伝いや東京での物産販売、各地から訪れるボランティア団体の派遣地調整、ふるさと納税の再開準備など何でも取り組んだ。「議員をやっていたから行政の動きが分かり、市民との橋渡しができた」と自身の役割を分析する。15年10月からは活動拠点の陸前高田市内の仮設住宅に移り住み、支援の輪を広げた。

 家族を残し、単身で陸前高田市のために注力した6年間。心がけてきたのは「地域の人たちと一緒に活動すること」。急がず、焦らず、そっと被災者の人たちの暮らしに寄り添ってきた。「長かったような短かったような6年間」。昨年末に父親が体調を崩し介護のため今春、福井に戻った。

 東日本大震災から6年たった今、壊滅的な被害を受けた陸前高田市のまちは道ができ、店が開き、家や施設も建ち始めた。「これからは生活の再建だけでなく、まちの再生を考えるとき。人口が減る中で10年後、100年後にどんなまちを残したいのか。同じ課題を福井でも考えていきたい」と今後の活動を見据えた。