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東海道新幹線、深夜の「過酷訓練」を実施 その内容とは?

6/18(日) 7:10配信

乗りものニュース

昼間は200km/h以上で新幹線が走っている場所で

 東海道新幹線の三島駅(静岡県三島市)付近で2017年6月1日(木)深夜、JR東海の社員ら約300人が参加して“過酷な訓練”が行われました。

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「実車を使って行うのが一番の訓練です」(JR東海 新幹線鉄道事業本部 運輸営業部 辻村 厚部長)

 大規模な自然災害といった不測の事態に備え、JR東海が例年実施している、東海道新幹線の“本線”で、実際の車両を使って行う訓練で、今年のシナリオは次のようなものです。

想定シナリオの内容

 下り『のぞみ』が熱海~三島間を走行中に大規模地震が発生。列車を緊急停車させるため、送電が停止された。

 地震によって、同区間の玉沢トンネル出口で斜面が崩落。同列車はブレーキ中に崩落した土砂上を通過し、三島駅手前(静岡県三島市加茂川町付近)で停止。その後、同じ場所で斜面がさらに崩落し、架線(線路上空に張られている列車へ電気を送る電線)が切断された。列車は脱線していない。

 列車内では停止後1時間で車内温度が上昇したため、車内換気を実施。しかしその後、1時間を経過しても運転再開の見込みが立たないため、最寄りの三島駅まで乗客を徒歩で誘導することに決定。車内には高齢者や体の不自由な乗客も多数いたことから、歩行が難しい乗客は線路保守作業用の車両で三島駅へ輸送する。

今年は特に「過酷」

 このJR東海が新幹線の本線で、実車を使い行っている訓練。シナリオは毎年変わりますが、今年は特に“過酷”な状況設定だったといいます。

「過酷」その1、東海道新幹線で最大級に列車が傾く場所

“過酷”だったことのひとつは「カント」です。線路はカーブで、その外側が高くなっていることがあります。カーブで線路を傾け、その内外で高低差を設けることで、高速でも安定した状態で列車がカーブを通過できるようになるほか、乗り心地を向上させられるのです。競輪場を想像すると分かりやすいかもしれません。かんたんにいうと、このカーブにおける線路の傾きを「カント」といいます。

 訓練で列車が停止した場所は、この「カント」の量が東海道新幹線において最大級である区間のひとつ。『日本鉄道名所4 東海道線』(小学館)によると、東海道新幹線で例外区間を除き最も急である半径2500mというカーブの途中で、カーブ内側と外側のレールは、東海道新幹線で最も大きい200mmの高低差があるとみられる場所です。

 左右のレールで200mmの高低差があるとみられる場所から、つまり「傾いた列車」から避難するというのが、今回の訓練が“過酷”であった理由のひとつです。その傾きは約8度(車内からスマートフォンで記者が計測)。JR東海によると、列車が傾く「カント区間」で乗客を車外へ脱出させる方法を検証するため、実施したといいます。

 車外への脱出では、乗降用ドアにはしごを掛け地上に降りる、隣の線路に保守作業用の車両を停車させ、渡り板を設置し、歩行が難しい(という設定の)人を移乗させるという訓練が行われました。もちろん、訓練に使われたN700系新幹線も、保守作業車もそれぞれ傾いた状態で、です。

 またJR東海によると、実際の営業線上でこのように保守用車を使い、乗客を救済する訓練を行ったのは今回が初とのこと。

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