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【いま大人がこどもにできること(47】 面白がれる時期が早く、短くなっているこどもたち

6/18(日) 13:00配信

ニュースソクラ

こどもが面白がっているものを、一緒に面白がってみる

 この前、あるPTAの会で、PTA会長さんとお話しました。男性、30代後半のかたです。

 で、なんのはずみか、小学校四年生のときに、ポプラ社の「ルパン」シリーズがクラスの男子のなかで流行って、誰が一番先に全巻読破するかの競争になった、という話になりました。
 よく内容がわかんなくても必死になって読んで「オレいちば~ん」「オレ、にば~ん」とやってたわけです。

 で、それを聞いてまた愕然としてしまいました……。

 だってさ……。
 いまそれやってるのって……。
 五才児だよ?

 男の子は、男グループのなかで自分がなん番目かを競うタイプと、はじめから男社会ピラミッドに入らないタイプがいます(もちろんなかには、そんなのどーでもいー、と思っていてもそれに入ってるフリをしている人もいます。やっぱり、消防団に入らなきゃならない地域もまだあるわけで……)。

 でね、いま四才か五才になると
「オレが!」
「オレが!」
っていい始める気がするんだ。

(しかもいま、なんかアクセントが違うんだよね。オレが……って上に上がるんじゃなくて、オが一番強くてレで音程が下がるの……。そのアクセントのときは、自分が一番、て主張なのよ。こういうのが自発的に始まるのって……しかもたったまだ五年しか生きてないのにどうやって起きるんだろうと思う……。人間て、つくづく社会的な動物なんだねぇ)

 そうかぁ……。30年くらい前は、四年生でそれやってたんだ~!

 ということは、精神年齢が三年? 下手すると四年ずれたってこと?

 だっていま四年生にもなって、そんな幼稚なことしてる男の子……見ない気がする……。

 いまそれやってるの、五才ですよ、といったら、会長、少しショック受けてました(笑)。

 で、なにがいいたいかというとですね、つまり、いまそういうものの旬が短くなってるってことなんですよ。
 だからハッと気がつくと通りすぎちゃってる……。
 もうつまんなくなっちゃう……。

 だからその旬の時期にたくさん楽しませてやってねっていうことなんだけど、これってお父さんの役目だと私は思うわけですよ。
 なぜかというと、女親はたいてい戦隊ものが嫌いだから……。

 女の人はおそらく、自分が一番偉いのよ、強いのよ、どーだ、凄いだろ~!ってなる人は特殊……。
 だから「オレが!オレが!」というものは初めから「つまらない」んです。
 「だからなんなの?」って思っちゃう。
正直、バッカみたい~、だとしか思わない。

 だから欲しがっても買ってやらない、と思う(少なくとも本屋の店頭で見てる限りは……)。

 でも、一時期それを喜ぶ、というのは、必要だからなんじゃないのかなって私は思うのね。

 必要な子は面白がるし、必要じゃない子は無視なんじゃないかと……。
 そうならない男子も確かにいるから……。

 戦隊ものって、戦いたいタイプの男子にとっては孫悟空の金の輪だと思うんですね。

 自分の主張を通すために戦うのはいいよ?
(てか、アメリカ映画なんて大半そうですがな。ということは、中身は五才児のままってことですかね?)

 でもさ、強いほうがいつも正しいとは限らないじゃない?
 負けたらいうこときくのかよ……と私、いつも思うよ……。

 「正義は勝つ!」は確かにカタルシスを生むけどね。

 それに、自分が一番強いからってしたい放題したら、ジャイアンにしかならない……。
 正義の味方、ヒーロー、仮面ライダーでいるためには、自分のやりたいことではなく、自分を押さえてみんなのために生きなきゃならないわけです……。
 やりたい放題したら、ショッカーになっちゃう……。

 そんな意地悪する人は、ライダーにはなれないよ!?

 という脅しは、男子にとっては「金の輪」だと思うんだよね。
 ライダーになりたければ、ぐっとやせ我慢して“いい人”でいなけりゃならない……。

 だから、お子さんをよく見て、これやりたい、これ読みたい、をめざとくみつけて合わせてやって欲しいほしいんです。
 男の人って、案外、自分の趣味じゃないものでも面白がって子どもに合わせてくれる人が多い気がする……。

 ま、その反面、自分の好きなものに強引に引きずりこもうとするエネルギーも大きいから、そうするとヒサンなことになる確率も高いんだけど……。

 自分が趣味で友達とバイクでツーリングに行くからって、そのあと家族もちゃんと「同じところ」へ連れていっている(からいいだろ!?)といいわけ(自慢?)してるやつがいて愕然としたことがあるんだけどさ。

 同じ感動を分かち合いたい気持ちはわからなくもないよ?
 でも同じお金使うなら(全員が行きたいとこ全部に行けるほど金持ちならもちろんオーライですが)奥さんは奥さんで、子どもは子どもで行きたいとこがあるんじゃないですかね?

 思わず「『行きたいとこ、あるか?』ってあなた、奥様に聞いたことある?」
って聞いちゃったよ。

 そしたら鳩が豆鉄砲くらったような顔しちゃってさ……。

 考えたこともなかったんだろうなぁ。

 なんで“自分が行きたいとこ”イコール“奥様も息子も行きたいに決まってる”と思い込めるんだよ?!

 体力的にも、あなたは富士山登れるかもしれませんが、息子さんはまだ無理だし、そもそもそんなことしたいと思っちゃいませんよ、っていうことになぜ気がつかない?

 だから、ちゃんと見てね、観察してね、そして、自分と違う人間のすることを面白がってね。

 ここ、大事。
 面白がるってとこが……。

 というわけで、うちの子、戦隊ものしか見ないんです……という相談をたびたび受けますが、それに、はまっていられる期間はいまではごくわずかです。

 その間は徹底的に楽しませてやってください。
 たいていは、二度と楽しめなくなるんですから……。

 ごくまれに、抜けないで、作る側に回っちゃう人もいないではないですが、それならそれで、かまわないでしょう?
お仕事になるんですから。
 好きなことして生きていけるなら、それは幸福な一生ですよね?

■赤木 かん子:いま大人がこどもにできること(本の探偵)
1984年、子どもの本の探偵としてデビュー。子どもの本や文化の評論、紹介からはじまり、いまは学校図書館の改装からアクティブラーニングの教えかたにいたるまで、子どもたちに必要なことを補填する活動をしている。
高知市に「楽しく学校図書館を応援する会」として学校図書館モデルルームを展開中……。
著書多数。

最終更新:6/18(日) 13:00
ニュースソクラ