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日本が誇るハイエンド!アキュフェーズのパワーアンプをガチ試聴

6/18(日) 11:50配信

Stereo Sound ONLINE

オーディオ好きなら誰もが憧れるブランド、それがアキュフェーズ

 今回のステレオサウンドオンライン新製品レビューは、アキュフェーズから発売されるモノーラルA級パワーアンプ「A-250」を紹介する。

 本機はおよそ5年前の2012年にアキュフェーズ創業40周年記念モデルとして発売された「A-200」の後継機である。基本的な内容は前モデルを踏襲しつつ、回路や内部構造を完全新規設計することで、音質を磨き上げたモデルだ。

 国内外に関わらずアキュフェーズといえば「日本のハイエンドオーディオの雄」と書いて異論のある人は皆無と言えるブランドだろう。真面目かつ丁寧なものづくり。長年の経験とノウハウに基づいた質実剛健な設計と外観デザイン。そして、ユーザーに対しても真摯に向き合う、企業としての姿勢。それが同社の製品を見るだけでも伝わってくる。オーディオファイルであれば一度は憧れるブランドと言えるだろう。

 筆者が初めて購入した同社の製品は、プリメインアンプ「E-406V」だった。その後、パワーアンプの「P-450」や「P-550」を使っていた。手に入れた時は「やっとアキュフェーズが買えた」と喜んだものだ。

 往年のオーディオファイルには今さらかもしれないが、“アキュフェーズ”という社名が、アキュレート(正確)とフェーズ(位相)からの造語である。その名を体現したかのような、実直なサウンドに「さすがアキュフェーズ」と唸ったのを思い出す。プリアンプやパワーアンプは、紆余曲折を経て現在の環境に落ち着いたが、現在でもサラウンド用のパワーアンプに同社の「PX-600」を使用している。


■すでに完成形と思われたA-200を見事にブラッシュアップしてみせた

 今回紹介するA-250は冒頭に紹介した通り、モノーラルA級アンプである。長年オーディオを楽しんでいる読者なら、A級アンプと聞いただけでもロマンを感じてしまいそうだが、本機の魅力はそれに留まらない。さすがフラッグシップモデルと言えるこだわりと機能が詰まっている。その内容を紹介したい。

 A-250の最大出力は、4Ω負荷時が200W、1Ω負荷時には800Wとなる。入力段をフルディスクリート、フルバランス化した「インスツルメンテーション・アンプ」方式とし、増幅回路の入力部にアキュフェーズ独自の「Double MCS+回路」を搭載。これらはA-200と同様の構成だが、入力段の基板を新たに設計。入力端子の直近にアンプを配置したり、配線パターンを改善したりすることで、S/N比を向上させることに成功。A-200の132dBに対して、本機は133dB(ゲイン-12dB時)を実現した。もちろん特性が高いからといって、サウンドの良さに直結するとは言い切れないが、この数値の高さのパワーアンプはそうお目に掛かれるものではない。他にも、アキュフェーズの伝統であり、高域の位相特性に優れた「カレントフィードバック増幅回路」が搭載されている等、その内容には枚挙に暇がない。

 出力段にはMOSFETで10パラレル・プッシュプルを並列駆動としている(つまり、合計で20素子となる)。これも従来機A-200から踏襲した部分だ。しかしスピーカー端子周りを低インピーダンス化して、ダンピングファクター(スピーカーの駆動能力を示す指標)の向上を図っている。ダンピングファクターはカタログ値ではA-200同様の1000だが、社内での実測値では1400以上をマークしているとの話。つまり、超低雑音を実現しているのだ。

 さらに、A級アンプ4台分をブリッジ接続して駆動させることも可能だ。その場合4Ω負荷時で400Wの出力が可能となっている。また、プリアンプ側の出力が2系統ない場合でも、本機同士を接続するデイジーチェーン方式によるバイアンプ駆動にも対応する。

 外観はアキュフェーズらしい美しいシャンパンゴールドのアルミパネルだ。表示メーターは、バーグラフ式と実装インピーダンスに基づく電力値を5桁の数値で表示するデジタル式の2種類が装備されている。このうち、バーグラフメーターは以前より表示部を大きくすることで、見やすくなっている。

 ゲイン調整も可能でMAXの28dBから、-3dB / -6dB / -12dBが選択可能。入力端子はアンバランス・バランスが各2系統、スピーカー出力端子は2系統用意されている。

 A-250はパワーアンプとしての性能はもちろん、使いこなしや将来の発展性まで考えられたフラッグシップモデルと言えるだろう。


■芯の太さも繊細さも併せ持つ、驚異のサウンドクォリティ

 試聴はいつも通り筆者の部屋で、リファレンスパワーアンプのみ入れ替えて行なった。本格的に聴く前に各設定で試し聴きした結果、ゲイン調整は-12dBにした。パワーアンプにゲイン調整がついている場合は可能な限り低いゲインで試聴するのをオススメしたい。S/Nが有利になるだけでなく、プリアンプ側でボリュームを下げる必要が少なくなって、ソース機器から送られた信号を最大限活用できるからだ。

 なおメーター回路からのノイズを考慮してメーターはすべてオフとしている。試聴ソフトはこの連載の常連ソフィー・ミルマンの『Sophie Millman』から「agua de beber」(CD)と、アンドレ・クリュイタンス指揮/パリ音楽院管弦楽団の『ラヴェル集』から「道化師の朝の歌」(SACD)を選択。それでは本機の魅力を探って行きたい。

 アキュフェーズA-250のサウンドは、堂々とした正統派と言えるだろう。低音のアタックが聴き取りやすい制動力で、音の芯が太く「agua de beber」のドラミングが気持ちいい。ダンピングファクターの実測値が1400オーバーなのも納得のいくサウンドだ。

 クラシック「道化師の朝の歌」は、ラヴェルの繊細かつ官能的な響きがしなやかかつ、まとまりのいいサウンドステージが印象的だった。このSACDはシステムによっては神経質なサウンドになりやすいのだが、落ち着きのある弦楽器の響きや管楽器のややタイトな音色は品があっていい。

 クライマックスの吹き上がる様なトゥッティも音のひとつひとつが明瞭なのは、やはり優れたS/N(133dB!)からくるのだろう。数字を意識したくはなかったけれど、このサウンドはスペックに裏打ちされた本機の性能を感じずにはいられなかった。

 A-250は前モデルから地道に努力を積み重ね、成熟された技術がサウンドに宿っていると感じた。

 チューニングによる変化も敏感な印象なのは、本機に関わらずアキュフェーズのアンプならではだろう。それも楽しみのひとつだし、長く付き合える証とも言える。もちろん音も間違いなくトップクォリティと断言できる製品だ。


【アキュフェーズ A-250】
250万円(ペア、税別)
●定格出力:ノーマル時・800W(1Ω)、400W(2Ω)、200W(4Ω)
●周波数特性:20Hz~20kHz(定格連続平均出力時)
●接続端子:音声入力1系統(XLRもしくはRCA)
●寸法/質量:W465×H238×D514mm/46kg

Stereo Sound ONLINE / 木村雅人

最終更新:6/18(日) 11:50
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