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「聴き手の解釈は無限」  中島みゆき6万人動員ライブ「一会」が映画に 音楽評論家・田家秀樹が語る

6/18(日) 19:10配信

カナロコ by 神奈川新聞

 歌手の中島みゆき(65)が約6万人を動員したライブを収録したドキュメンタリー「一会(いちえ)2015~2016 劇場版」が公開中だ。神奈川県内では「イオンシネマつきみ野」で上映中、「イオンシネマ茅ケ崎」では24日から。作中の20曲には「旅人の歌」(1995年)などミリオンヒットの曲もあるが、多くは初めての映像化。中島を30年以上取材する音楽評論家の田家(たけ)秀樹は「並ぶ曲は、みんなの歌というより、私の歌。今、聴いて欲しい曲ばかり」と話す。

 「これは私のリアリズム」。歌う中島の瞳に覚悟が宿る。

 75年に「アザミ嬢のララバイ」でデビュー、「わかれうた」(77年)、「悪女」(81年)、「空と君のあいだに」(94年)、「地上の星」(2000年)と各年代でシングル盤の売り上げ1位を獲得する唯一の歌姫は、少女、女神、鬼のように気配を変え、曲に宿る魂を歌う。耳慣れた曲が外された公演。「次は何」。客席に緊張が漂う。

 「やまねこ」で帰る場所がない者の切なさに寄り添う。「友情」では〈悲しみばかり見えるから この目をつぶすナイフがほしい〉という冒頭の歌詞をあえて歌わない。「歌わないことで、そこから目をそらさない決意を感じた」と田家。飛行機の爆音が会場を覆った「阿檀(あだん)の木の下で」は沖縄の悲しみが浮かぶ。手にした深紅のリボンは血、命、死を思わせ、次曲「命の別名」に続けた。

 「これは『麦の唄』でファンになった人へのメッセージであるように思います。同曲の先には、国、家族、生まれてきた意味…と世界が広がる。その先を知れば、大地、木、水…と言葉を持たないものたちにつながる」と田家は話す。

 中島は自作について多くを語らない。田家は言う。「聴き手にどう解釈されてもいい。書き手に何を書かれてもいい。その覚悟を常に感じる」
 曲から、言葉から、何を感じるのか。中島の作品に触れる時、こちらも常に問われている。