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「ファークライ5」のリードライターインタビュー、カルト指導者はいかに生まれたか?

6/19(月) 21:06配信

IGN JAPAN

「ファークライ5」のリードライターインタビュー、カルト指導者はいかに生まれたか? - Part 1

E3 2017のスタート直前にアナウンスされた「ファークライ5」は今まで以上にセンセーショナルで挑戦的な内容であった。米国モンタナ州「Hope County」を舞台としながら、カルト集団とそのレジスタンスの対立を描く設定はそれだけでも物議を醸しだし、際どい魅力を放っている。
そしてストーリーだけではなく、実際にE3で体験したゲームプレイも歴代の「ファークライ」作品と同等以上に楽しいものだ。プレイしたステージでは、3名のレジスタンスの仲間(NPC)から1人(あるいは1匹)を選んで、カルト教団「エデンの門」の狂信者に満ちあふれた郊外の街を片付けることとなった。

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飛行機から爆弾を落とすパイロットのニック・レイの協力があれば、暴力的な騒音の中で敵の集団を強引にぶち倒すというアグレッシブな遊び方ができる。一方、犬のブーマーは、プレイヤーがL2ボタンとDパッドで指定したエリアを調査したり、敵をマークしたりして、ステルスのアプローチを可能にする。遠くから援護してくれるスナイパーのグレース・アームストロングは、前述の両者の中間に位置するような、堅実な選択肢だ。
今回はブーマーを選び、高い給水塔から特定の経路で街を巡回して敵をマークするように犬を放った。マークされた敵をスナイパーライフルで静かに仕留めながら、犬には単独で行動する敵を見たら必ずその顔を食いちぎるように指示。これはライフルの射程外にいる敵に対しては特に有効な戦略だ。やがて信者たちが殺人犬の存在に気付き始めると、狙撃モードを全開にして、ついにカルト教団から街を解放した。そして最後まで給水塔の上から一歩も離れたことのない自分に気付いた。
さてゲームプレイでは歴代シリーズを踏襲しながらも、コンパニオンキャラクターを利用するという新たな要素を取り入れた「ファークライ5」。そこでこのセンセーショナルな設定の中でいかにストーリーを紡いでいくのかに期待が高まる。そこで今回、IGN JAPANは幸運にもリードライターを務めるAndrew Holmes氏のインタビューの機会を得ることに成功した。


ーーまずは自己紹介をお願いします。
Andrew Holmesです。今回「ファークライ5」のリードライターをつとめます。2006年に「Saints Row」1作目を手掛けたVolitionというスタジオでキャリアをスタートさせました。そこで「Saints Row 2」「Saints Row 3」「Red Faction: Guerrilla」「Red Faction: Armageddon」のライターになりました。2012年にはIrrational Gamesに移籍し、「Bioshock Infinite」とそのDLCに携わりました。Irrational Gamesが閉鎖された後は、フリーランスとしてあちらこちらを転々としましたが、約1年半前、Ubisoft Montrealで「ファークライ5」の仕事を始めました。
ーー「ファークライ」シリーズのコアコンセプトは何だと思いますか?
「ファークライ」フランチャイズのコンセプトは、誰も手を差し伸べてくれない辺境の地で彷徨っている状態だと思います。そして破滅をもたらす恐ろしいヴィランも登場します。また、なんといってもアクションが重要です。我々は(ファークライ作品を)「anecdote factory」(逸話を生成する工場)と呼んでいますが、クールな戦闘システムに、野生動物や環境が合わさって本当にスリリングなオープンワールドかつ一人称視点シューターのアクションゲームになっています。

ーーアメリカを舞台にしていますが、宗教というテーマは今回のライティングにどう影響しましたか。
私は約2年前、モントリオールで(ディレクターの)Dan Hayと話した時に、最初にプロジェクトについて知りました。(最新作については)何も知らず、ただ過去に「ファークライ」作品を本当に楽しんだというだけでした。そんな私にDanがアメリカのモンタナを舞台にした「ファークライ」のアイディアを教えてくれました。舞台となるモンタナの辺境の地では、物事が若干歪められる傾向があり、住んでいる人々はよそ者にちょっかいを出されたり、干渉されたくないと思っています。
Danは終末論のコンセプトからカルト教団を作り上げた神父のキャラクターについても説明してくれました。この神父は、心から世界の終わりが近づいていると信じていて、信者を集め、彼らにも同じアイディアを信じ込ませます。「世界の終末がやってくる。いつになるかはわからないが、神が可能な限り多くの魂を集めなければならないとおっしゃっている」とね。信者は周りにこう言って回ります。「私たちと一緒に来なさい。あなたたちも感じているはずだ。世界が危機に瀕している」と。ゲームの中では「Collapsed」(崩壊した)という言葉が使われますね。そして「あなたが救われる唯一の方法は、我々の仲間になることだ」と。
「ファークライ5」の物語を作るという意味では、もはや道案内付きの物語ではありません。

このカルトが姿を現した時、人々はこの宗教について話し合います。多少奇妙かもしれませんが、彼らは一見平和的なグループのように見えるのです。一部の人はこの宗教を受け入れます。ここ10年~15年を振り返ると、世界が奇妙な形で変化しているのがわかります。ある意味、全世界が一つのコミュニティであるというアイディアから遠ざかり、様々な形で部族主義へと後退しています。人々はそれぞれ自分たちだけでやっていきたいと考えている。神父ジョセフはその恐怖に訴えかけています。つまり、我々は共通のゴールに向かって進んでいるわけではない、という恐れに。
「みんなが正当な権利を奪われたように感じている」と訴えるジョセフの元には、家を失った人々や、薬物中毒の人々、生きがいを失った人々が集まってきます。ジョセフは彼らに対し、「助けてあげる。私があなたの面倒を見てあげる」と言い聞かせます。心配ごとを抱える人々、何も上手く行っていないと感じているような人々は、「心配しなくていい。なんとかしてあげる」という言葉を求めています。それがこのカルトの基盤になっています。そして、時が経過し、世界が崩壊する気配が一向に現れないと、彼らは少し不穏に、クレイジーになってきます。「嘘じゃない、本当に世界の終わりはやってくるんだ」とね。
ゲームは新人の保安官であるプレイヤーに対し、自治体がジョセフの話を伝え、「この男は行き過ぎてしまった。今、ホープ群の孤立した地域でとても悪いことが起きている。そこに行き、この男を尋問しなければならない」というところから始まります。これは、プレイヤーにとっても自治体にとっても、最悪な決断です。状況はどんどん悪化していくからです。プレイヤーはたったひとりで取り残され、住人を誰も知らず、どこに行けば良いのかもわからない状態で、カルト集団を止めるというミッションに挑むことになります。「ファークライ5」の物語を作るという意味では、もはや道案内付きの物語ではありません。シングルプレイのストーリーミッションがあって、それとは別に探索できるオープンワールドがある、というコンセプトから離れ、全てが同じものの一部になっています。

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最終更新:6/21(水) 21:06
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