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<SIMフリー>iPhoneを追うファーウェイ端末の実力

6/19(月) 9:30配信

毎日新聞

 格安スマホが広がるなか、「SIMフリースマホ」が急速に販売台数を伸ばしている。なかでも、価格のわりに高性能な中国ファーウェイのスマホが人気だ。ケータイジャーナリストの石野純也さんがその実力に迫る。【毎日新聞経済プレミア】

 ◇昨年の「P9」に続きライカのカメラ搭載

 ファーウェイが、夏商戦に向け新たな旗艦モデルを発売した。新機種は3種類で、機能の高い順に「P10プラス」「P10」「P10ライト」という名前。P10プラスとP10は、老舗カメラメーカーのライカと共同で開発したカメラが特徴。背面には二つのセンサーを搭載しており、これによって被写体との距離を測り、背景を奇麗にぼかした美しい写真を撮ることができる。

 ライカと共同開発したカメラは、昨年の同時期に発売された「P9」にも搭載されていたが、画素数が上がり、写真の細部の精細感が増している。P10プラスについては、レンズもより明るいものになっており、暗所でも美しい写真を撮れる。カメラはスマホの中で特に重視される機能なだけに、P10プラスやP10も人気が出そうだ。

 もっとも、販売台数の面では価格が安いP10ライトが本命と見られる。P10ライトは格安スマホの売れ筋である3万円を切る価格だが、背面にガラスを使用して高い質感を出している。

 昨年発売されたP9ライトは年間を通してベストセラーになり、大手通信事業者の出すスマホと肩を並べるほどの売れ行きとなった。P10ライトはその後継機で、取り扱うMVNOも多い。P10からは新たにauのネットワークにも対応しているため、販売数はさらに増えるかもしれない。

 ◇iPhoneのシェアが高い日本市場で勝つには

 3万円を切る価格帯の機種に人気が集中する傾向にあるSIMフリースマホだが、ファーウェイはあえて高価格帯にも挑戦している。昨年は旗艦モデルの「P9」を投入し、冬には大画面モデルの「メイト9」も発売した。

 メイト9については、ファーウェイの期待を上回る初速で、一時は家電量販店などの店頭から姿を消してしまったほどだ。この成功を受け、今年はP10だけでなく、その上位モデルのP10プラスも発売することになった。

 ファーウェイの日本法人で端末部門の社長を務める呉波氏によると、日本は「逆三角形の市場」だという。大手通信事業者の取り扱うスマホが高機能モデルに集中しているため、この層が厚く、廉価モデルの方が販売台数は少ないという意味だ。iPhoneのシェアの高さを見れば、それが分かる。そんな日本市場で評価を得るには、高機能端末の投入が欠かせないと判断したというわけだ。

 ◇主流は3万円台、消費者の選択は……

 ただし大手通信事業者は、通信料金を割り引くことで端末を見かけ上、安くしている。そのため本体価格が丸裸になるSIMフリースマホは、高機能なものほど高くなり、販売台数の絶対量は少なくなりがちだ。ファーウェイの場合、P10プラスが7万円台前半、P10が6万円台半ばで、3万円を切るP10ライトと比べると、どうしても高く見えてしまう。

 市場が拡大したため、高機能モデルが受け入られる余地は広がっているが、大ヒットするのは、やはりP10ライトのように3万円前後の機種だ。ファーウェイとしては、P10プラスやP10でメーカーとしての実力を見せつつ、販売台数はP10ライトで稼ぎたいのかもしれない。呉氏が「3万円台の普及価格帯が主流で、これは当分の間続くと思っている」と語っていることも、これを裏づける。

 とはいえ、ライカと共同開発したP10プラスやP10のカメラには、やはり魅力がある。単に価格だけで選ぶのではなく、実機に触れてから、高い金額を払うだけの価値があるかを判断した方がいいだろう。SIMフリースマホは大手通信事業者のスマホより機能や価格の幅が広いため、消費者も“選球眼”を養う必要があるのかもしれない。

最終更新:6/19(月) 9:30
毎日新聞