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ベストスコアで肉薄2位 松山英樹が発揮したメンタルの強さ

6/19(月) 15:02配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「ビッグスコアを出せれば、あきらめる位置ではない」

 スタート前に松山英樹(25)がにらんだ通りの展開になった。

 最終日は6アンダー14位タイ発進と、トップに立つB・ハーマン(30)とは6打差もあった。それでも“勝機がある”と強気発言が出たのは、メジャー大会は独特の重苦しい雰囲気が漂い、トップを走るプロにもじわじわと重圧がかかり、すんなり逃げ切りとはいかないからだ。

 しかも今年はD・ジョンソン(32)、R・マキロイ(28)、J・デイ(29)の世界ランクトップ3がそろって予選落ち。優勝争いはメジャー未勝利のプロばかりだ。大会4日目になって最も強い風が吹いたのも試合の行方を混沌とさせ、世界ランク4位につける松山のプライドもあったはずだ。最終組から7組前にスタートし、先にスコアをぐんぐん伸ばして後続組にプレッシャーをかけた。

 1番パー5は残り286ヤードをスプーンで2オンに成功すると、手堅く2パットのバーディー発進。2番は2メートルのバーディーチャンスを逃し、3番はつま先上がりからの2打目がダフってグリーンのだいぶ手前にあるバンカー土手のフェスキューの中に入るトラブルに見舞われる。しかし、そこから1.5メートルに寄せてパーセーブ。すると4番、5番の連続バーディーで一気にトップと3打差6位まで浮上した。

 田原紘プロが、「このところ暗い表情の試合が多かったけれど、この日は明るかった」とこう言う。

「自分がやることをやれば勝てるチャンスがあると手応えがあったのだろう。やってやろうと前向きなプレーで表情も明るかった。前半のキーホールは3番。あそこでパーセーブしたのが大きかった」

■サンデーバック9で怒濤の5バーディー

 6番パー3でこの日初のボギーをたたくも、その後はパーセーブして通算8アンダーで前半をターン。この時点でトップと5打差7位だった。

 サンデーバック9でさらにタフなコースを攻めていった。11番2メートル、12番4メートルの連続バーディーを決めて3打差4位。14番パー5は2オンを逃したが、グリーン右サイドからのアプローチをピンそば50センチにつけて難なく沈めて通算11アンダー。

 前日はワンオン可能でやさしかった15番パー4はアイアンでティーショット。これが、右からの風の影響を受けて深いフェスキューの中へ入ってピンチを迎えた。2打目は無理にグリーンを狙わずにフェアウエーに脱出するだけ。3打目は残り100ヤードを切る距離だが、ピンが右奥に切ってあり、突っ込めない。アプローチは手前8メートルと寄らずに、終盤に手痛いボギーとなってしまった。

「15番ボギーはティーショットにアイアンを手にして大事に行ったのが裏目に出てしまった。松山のアイアンはボールが高く上がるだけに、落ち際で風の影響を受けやすい。その15番以外はコースマネジメントが非常に良かった。4日間72ホールの回り方がうまくなった。どこかでつまずいても目標スコアへゲームプランに対して常にトライしている。メジャーでは攻めないで逃げていたら勝てないというのを痛いほど知っている。競った時にどうやったらいいプレーができるのか自分の中でよくわかっている」(前出の田原プロ)

■16番グリーン上で競技委員からスロープレーの警告に動揺なし

 実際、15番ボギーからすぐに立て直した。16番パー3は9番アイアンでピン右3・5メートルにつけた。その時に競技委員から前の組と1ホール空いてスロープレーの警告を受けるが、バーディーパットをねじ込んで“雑音”を封じ込めた。

 そして最終18番パー5で2オンに失敗すると、「あっ~」と失望のため息が漏れたが、右サイドのラフからのアプローチはピン1メートルにつけ、8つ目のバーディーを決めて、この時点で首位と2打差の通算12アンダーでホールアウト。通算16アンダーで初優勝のB・ケプカ(27)に突き放されたものの松山は全米オープン自己ベストの2位フィニッシュとなった。

 松山は世界ランカー上位選手にふさわしいメンタル面の強さを発揮した。

 3万人近いギャラリーが押し寄せるメジャー会場では至る所でプロのスーパーショットに歓声が沸き起こる。ただアドレスに入った後の大歓声はプロにとって迷惑だ。ショットやパットの集中力が途切れてしまい仕切り直すことになるからだ。

 しかし、この日の松山はアドレスに入ると、周りからの歓声がまったく耳に入らないかのようにテークバック始動に入りピン筋に絡むショットを連発した。上がり18番パー5ではスタンドから多くのギャラリーに見られながらラフから1メートルに寄せるスーパーアプローチを見せてバーディーフィニッシュにつなげた。

 日本人プロの2位は1980年大会に青木功がJ・ニクラスと死闘を演じて以来2人目。

■松山の話「今週はそんなに(精神的に)切れなかった。久々にいい感じで前向きにプレーできた。15番のボギーのあと、16、17、18番は全部取れると思っていた。13アンダーにすれば(優勝の)チャンスあるかなと思ったが、16までいくと……今週は最終日に風の中でいいプレーができた。(来月の全英は)次のアイリッシュ・オープンで風や寒さ対策をして臨みたい」