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メジロ鳴き合わせ会の実態 横綱は数百万円 密猟や違法飼育、動物虐待の指摘も

6/19(月) 15:06配信

産経新聞

 メジロの鳴き声の美しさや回数の多さを競う「鳴き合わせ会」というイベントがあることはあまり知られていない。5年前に国産メジロを新たに自宅で飼育することは禁じられたが、大阪は全国大会が開かれるほどの「本場」なのだ。優勝すると高額で取引され、暴力団の資金源となっていたというメジロをめぐり、大阪府警が5月、鳥獣保護法違反容疑で愛好家らの自宅を捜索した。「動物虐待」との指摘もある鳴き合わせ会の実態とはどのようなものなのか。

 ある日曜日、捜査員が会場の堺市の浜寺船尾会館近くで張り込んでいると、布で覆った鳥かごを小脇に抱えた中高年の男性らが現れ、次々と会館に入っていった。「チィチィチィチィ…」。しばらくすると、会館の中からメジロと思われる小鳥の鳴き声が漏れ聞こえた。

 捜査関係者によると、鳴き合わせ会は、鳴き声の美しさや回数の多さを競うのが一般的なルール。3分間で400~600回さえずり、優勝する鳥は800回近く鳴くという。回数によって、大相撲のように鳥を「横綱」「大関」などと格付けして楽しむグループもあるとされる。

 国産メジロはかつて、1世帯1羽まで飼うことが認められたが、平成24年4月以降、新たに飼うことが禁じられた。野鳥の密猟対策に取り組む京都市の市民団体「全国野鳥密猟対策連絡会」(密対連)などによると、通常はメジロ1羽が1万~2万円で密売されるが、好成績を収めた「横綱」なら数百万円で取引されることもあった。少しでもよく鳴く一羽を見つけだそうと、密猟する愛好家も。過去には、密猟したメジロを愛好家に販売していた暴力団関係者もいたという。

 府警は約2カ月半の捜査で、50代後半~80代の府内に住む男性12人を特定。「愛鳥週間」初日の5月10日に合わせ、違法飼育の鳥獣保護法違反容疑で12人の自宅を家宅捜索した。12人は4月、市町村の登録を得ずに、国産メジロを自宅で飼育した疑いが持たれている。男性らは「法律で禁じられているとは知っていたが、鳴き合わせ会に出すために飼育していた」といずれも容疑を認めた。

 府警が押収したのはメジロ168羽と、国産の飼育が禁じられているオオルリ2羽とウグイス1羽の計171羽。1人でメジロ47羽を飼っていた愛好家もいた。トリモチなどの捕獲用具も押収し、密猟を行っていた形跡がうかがえたという。

 メジロなどは府動物愛護畜産課が鑑定し、くちばしや脚の長さ、体毛の色などから全て国産とすでに特定、府警は近く書類送検する方針。捜査幹部は「狭いかごの中で飼育して羽が傷ついたり、逃げ出さないようにするためか、羽が部分的に切られたりしている鳥もいた」とも明かす。

 一方、府警の調べに対し、ある愛好家は「参加者から1人当たり数千円の参加料を取り、成績上位者から順番に米や食用油などの食品や日用品を全員に渡していた。現金のやり取りは一切していない」と説明した。ただ、密対連の中村桂子事務局長は「本場の大阪で日用品が賞品に並ぶのを見たことがない。実際はお金を賭けるばくちを行っていたのでは」と指摘する。

 鳴き合わせ会に詳しい関係者によると、鳴き声の回数をカウントする特殊な計測器を開発したのは大阪の関係者といい、販売価格は1台約250万円。開発者らは全国の愛好家にリースすることで巨利を得ているともささやかれる。この関係者は「愛好家が自慢のメジロを持ち寄って競う『納会』と呼ばれる全国大会が、大阪で毎年のように行われている」と明かす。

 ただ、愛好家の高齢化が進んでいるといい、中村事務局長は「メジロを飼育しても問題のなかった時代もあったが、密猟して羽を切るなどの行為は“動物虐待”でしかない。こんな遊びはいい加減にやめるべきだ」と訴えている。

最終更新:6/19(月) 18:43
産経新聞