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(朝鮮日報日本語版) 【記者手帳】「世論重視」文在寅政権のご都合主義

6/19(月) 9:50配信

朝鮮日報日本語版

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日、康京和(カン・ギョンファ)外交部(省に相当)長官に任命状を授与した。偽装転入(実際に住んでいない場所を居住地として届け出ること)や論文盗作など数々の疑惑が持ち上がったことを理由として、野党3党は康京和・長官就任に強く反対してきたが、大統領府は「国民の世論だけを見て決める」とのコメントで任命を強行した。

 政局が硬直化し、協治が崩壊するとの懸念が指摘されるたびに、大統領府が「伝家の宝刀」のように持ち出してきたのが世論調査であり、今回も大統領府は「康京和氏の外交部長官任命については賛成の世論が高い」と説明してきた。大統領府が持ち出したのは今月初めに行われた世論調査だが、これについては「質問が中立的でない」との指摘は出ているものの、康京和・長官任命については賛成62%、反対30%という数字が出ていた。

 結果論だが、今月16日に数々の疑惑を理由に自ら法務部長官指名を辞退した安京煥(アン・ギョンファン)ソウル大学名誉教授についても大統領府は「国民の世論に逆らえなかったのでは」とコメントした。安氏は自らの疑惑について会見で説明した時点では「聴聞会で国民の判断を仰ぎたい」としていたが、世論が自らにとって厳しいものとなったため、最終的に辞退せざるを得なかったということだ。康京和・長官の指名に野党が強く反対していることについても大統領府の複数の関係者は「朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領の弾劾に賛成した70%以上の世論と、文大統領を支持する80%の世論が野党の行動を審判するだろう」という趣旨の発言を繰り返している。

 このように大統領府は世論を非常に重視しているが、ただ一つ知らないふりを決め込んでいるのが米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備に関する世論だ。今月16日に行われた世論調査によると、配備賛成は53%、反対は32%だった。朴槿恵前政権で配備が正式に発表された昨年7月の調査では賛成50%、反対32%だったが、その後も1年以上にわたり賛成が50%以上を維持している。

 ところが文大統領と大統領府は国民の半分以上が支持するTHAAD配備だけはどういうわけか認めず、「手続きの正当性」を口実に時間稼ぎを行っている。つまり政府は国民世論でさえ政利政略によって都合良く利用しているわけだ。これでは世論重視の政策も批判を受けて当然だろう。