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アップルの音声認識スピーカーHomePodで、コンピューターが消える未来

6/19(月) 16:24配信

朝日新聞デジタル

 家電の操作もネットでの注文も、すべて声に出すだけ。コンピューターを“操作する”という認識は過去のものとなる。そんな未来が、実際の製品として手に届くまで、あと一歩というところまで近づいている。
 「Amazon echo」や「Google Home」などといった、音声認識機能をもったスピーカー型のデバイスが注目されている。これらは、自宅の居間などに置いてWi-Fiと接続することで、音声で操作して、商品の注文や調べ物ができる。昨年販売されたAmazon echoはすでに1000万台以上が販売されるヒット商品になっており、この分野では他社を大きく引き離している。
 その状況で、アップルからもiPhoneなどに搭載されている音声認識システム「Siri」を応用したスマートスピーカーが発表されるとの情報が流れ、6月初旬に開催された開発者向けの会議「WWDC 2017」には注目が集まった。

【写真】先行して市場を切り開いたAmazon echoほか

謎が深まったアップルHomePodの発表

 その期待の新製品、アップルのHomePodの発表は前評判からみると多少「斜め上」からのものとなった。Siriによる音声認識機能やホームオートメーションよりも、あくまでスピーカーとしての機能が前面に押し出される説明となったのだ。

 Wi-Fiに接続し、自動的に部屋の空間を認識して音響の指向性を調整してくれる機能に多くの人が感嘆の声を上げたが、どこかで本当に重要な説明を避けているような歯切れの悪さが基調講演にはあった。

 しかし、発表された内容を注意深く見ると、アップルがこのスピーカーの中に、将来へのさまざまな布石を仕込んでいるのが見えてくる。

 例えば、HomePodは音楽が鳴っている最中でも、周囲に取り付けられた6基のマイクによって音声によるコマンドを判別することができる。これは、大勢の人が会話している場で、HomePodに音声コマンドを認識してもらうために全員が一度口を閉じなくてはいけないような居心地の悪さを避けることにも応用できる技術だ。

 そしてAmazon echoがアマゾンの膨大な商品を購入することができるように、HomePodは最初からアップルの音楽定期購読サービス、アップル・ミュージックと直結している。「さっき流れたものと同じような曲をかけてくれ」「このギタリストのアルバムはあるかい?」といった質問にあわせて楽曲をダウンロードして再生してくれる。

 また、さりげなく紹介されたものの、HomePodを駆動しているCPUであるA8チップはiPhone上でさまざまなアプリを駆動できるほど高機能なもので、スピーカーに搭載するには過剰にも思える。ここにも、将来の機能追加にむけて十分な処理能力を最初から確保しておこうという狙いがうかがえる。

 その一方で、期待されていたSiriによるホーム・オートメーションについては、天気やニュースの読み上げや、リマインダやタイマーの設定といったように、すでにスマートフォンでできる機能の説明にとどまっており、アップルがHomePodでできることの射程をどのように考えているのか謎が深まった。

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