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護岸崩壊、目立つ流木 十勝川イカダ下り 試走 自然の再生力実感 ツバメ営巣も

6/19(月) 14:15配信

十勝毎日新聞 電子版

 手作りイカダで川を下るイベント「十勝川イカダ下り」は十勝の初夏の風物詩として定着し、45回目の今年は7月2日に開かれる。その魅力や昨年8月の台風被害の影響を確かめるため、主催する実行委員会のコース試走に同行した。数多くの流木や壊れた護岸など台風の爪痕が残る一方、新たな命を育み、再生へと向かう自然のたくましさを感じた。(池谷智仁)

 コースは帯広市内のすずらん大橋下流から、音更町十勝川温泉・白鳥護岸までの約10キロ。安全確認が目的の試走は13日に行われた。

 雪解け水の影響で川はやや濁っていたが、流れは穏やか。スタート地点からしばらく進むと、長さ5メートルほどの流木が水面に飛び出ており、実行委の住友裕明さんは参加者に注意喚起するため流木にピンク色のリボンを取り付けた。リボンを付けた流木はコース全体で10カ所を超え、昨年(4カ所)の倍以上に。流木は長さ10メートル近い巨大な物や、土砂とともに積み重なった場所もあり、台風被害の大きさを改めて感じた。

 増水により多くの地点で護岸が壊れ、河畔林は倒れていた。「コースに大きな変化はないが、流木や河畔林の倒木が多く、転覆に注意が必要」と住友さん。護岸の形が変わり、川に土砂が堆積した影響などで、川の流れが変わった場所もあるという。

 それでも、涼を感じる十勝川の流れに身を委ねると、ゆったりとした気持ちで魅力に触れることができた。コース後半の岸壁にはグラデーション鮮やかな地層が現れ、運が良ければ貝の化石も見られる。護岸が壊れ、むき出しになった土の部分にショウドウツバメが無数の巣を作り、群れが飛び交っていた。

 「十勝川は十勝の自然を育む源。イカダ下りでその雄大さを五感で体験し、川に親しむきっかけになれば」と、藤堂博実行委員長は話す。コースでは水面から飛び立つカワアイサやアオサギなどの鳥が間近に見られ、札内川との合流地点では水の透明度の違いが分かると説明する。

 台風による増水は過度に恐れず、「十勝川の権利」との認識を示す。自然のサイクルの一環で、新たな生物の芽生えにつながるからだ。災害に備えて治水を進めることはもちろん、日常的に川に親しみ、危険や楽しみを知ることも重要という。その上で、「十勝川は懐が深い。イカダ下りは自然相手の冒険で、子どもたちには想像力を養ってほしい」と願う。

 イカダ下りのスタートは午前9時。参加費は1人1500円(貸しイカダは3500円)。申し込みの締め切りは6月23日。詳細は十勝川イカダ下りのホームページで確認できる。

十勝毎日新聞