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性同一性障害者のジム利用「冷遇されてはならない」 和解に導いた裁判官の優しさと怒りの言葉

6/19(月) 16:07配信

BuzzFeed Japan

「性別適合手術を受けて身体が女性に変わるので、もう男性用ロッカーは使えない。配慮してほしい」

「これからは胸張って暮らしたい」性別適合手術受けた女性がジムを訴えたわけ

通っていたスポーツジムにそう求めたのに、ことさらに「男性」扱いされたとして、コナミスポーツクラブ(本社・東京)を訴えた京都市内の甲野友紀さん(仮名・50代会社経営)が6月19日、京都地裁で記者会見し、和解成立を報告した。【BuzzFeed Japan / 渡辺一樹】

裁判官は……

女性として生きる甲野さんは「裁判官が私の訴える内容を理解し、私の口惜しく行き場のない怒りと悲しみを受け止めてくださった」と、京都地裁(伊藤由紀子裁判長)の和解勧告を受け入れた理由を述べた。

コナミ側は裁判で、最後まで「戸籍が男性の場合、男性として扱う」という姿勢を崩さなかった。謝罪の言葉もなかったという。

それでも、甲野さんが、和解に応じることにしたのは、裁判官の和解勧告に、次のように書いてあったからだという。

「自らの性自認を他者から受容されることは、人の生存に関わる重要な利益である」

「契約上のサービスを受ける場においても、性自認にしたがった取り扱いを求めたことのみを理由として、冷遇されたり排除されたりすることがあってはならない」

これを見て、「私たちも普通に生きていて良いんだと思うことができた」「それが和解した理由」と、甲野さんは語った。

経緯を振り返る。

甲野さんは2009年からスポーツジムに通っていた。性同一性障害と診断を受け、2014年3月に性別適合手術を受けた。

既婚で、20歳未満の子がいたことから、「性同一性障害特例法」の要件を一部満たさず、戸籍の性別を変えられない状態だった。

甲野さんは手術を受けることを機に「この身体では、とても男性用更衣室は使えない」として、コナミ側に「配慮」を求めた。

それに対して、コナミ側の反応は冷ややかなものだった。

店長に面談を申し込んでも、なかなか会ってもらえない。本社に苦情を入れて、やっと会ってもらえた2014年3月5日、店長はいったん「手術後なら、女性用ロッカーを使える」と認めた。「女性」としての新しい会員証の話まで出ていたという。

ところが、この話は後に「本社からの指示」として撤回された。そして、「他の人の迷惑にならないように戸籍の性別の男性の格好をして男性の更衣室を使え」と一方的に言われた。

甲野さんは驚いた。

「なぜ、急に話をひっくり返すのか。なぜ、私に会ったこともない本社の人が一方的に決めるのか?」

「私は女性です。胸もあるし、性別適合手術も受けたので、上半身も下半身も女性で、むしろ服を脱いだら全く混乱は起きません。会ってみてもらったらわかるはずなのに…」

その後、店長は「戸籍に従って、男性の格好をして、男性用のシャワーや更衣室を使って」と主張。甲野さんがそれは差別だと反論すると、店長からは「(裁判を)やるならどうぞ」と言われたという。

甲野さんは熟慮の末、2015年12月に京都地裁に訴えを起こした。

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最終更新:6/19(月) 21:31
BuzzFeed Japan

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