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スポーツ中継、新映像技術が実証段階に NHK技研などが3D技術で臨場感

6/19(月) 13:40配信

日刊工業新聞電子版

■選手のプレー、視覚的に解説

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、スポーツ中継を盛り上げる新たな映像関連技術が実証段階に入っている。バレーボールなどの球技においてボールの軌道を即時に把握し実際のプレーに合成して表示する技術や、視聴者が自由な視点で競技を視聴し楽しめる技術などが登場している。4年に1度の舞台で選手のプレーとともに、最新の技術を世界に発信する。

 バレーボールの軌道が緑色で即時に表示され、選手が決めたアタックのコースやサーブの軌道の変化などが鮮明に分かる―。

 NHK放送技術研究所(東京都世田谷区)はカメラを通じて被写体の3次元(3D)位置を算出する技術などを活用し、コンピューターグラフィックス(CG)でボールの軌道を即時に合成するシステムを実現した。リプレー映像での活用を見込んでおり、選手のプレーを視覚的に解説できるようになるという。

 NHK放送技研の立体映像研究部に所属する高橋正樹氏は「選手らのプレーのすごさなどを分かりやすく伝えられる」と力を込める。バスケットボールや卓球など他の球技でも利用できる。

 この技術は複数台のカメラでボールを追跡し、各カメラの向きやズーム値を基に3D空間におけるボールの位置を算出する。その位置情報を利用し、ボールの軌道をCGで即時に合成する。ボールの軌道だけでなく速度も割り出せる。今後は実際のバレーボールの試合などで試験し、ボールの位置を算出する際の明るさの影響などを検証する。

 このほかNHK技研は音声合成技術を活用し、試合経過を自動で発話するシステムを構築した。NHKによると、五輪では国際オリンピック委員会が試合経過の情報を文書データで各放送局に配信している。同システムはそのデータを基に日本語の文章を自動で生成し読み上げる。人手の問題などで実況が付かないインターネット配信の試合映像に付加し、試合経過を聞きながら視聴できるようにする。韓国で18年2月に開かれる平昌五輪での実証を目指す。

 一方、KDDI総合研究所(埼玉県ふじみ野市)はサッカーのリプレー映像などを自由な視点で楽しめる技術を開発中だ。複数台の高精細カメラで撮影した映像を基に3Dの映像を構成。これによりカメラを設置できない角度からの試合映像などが視聴できる。

 視聴者が家庭で視点を自由に変えながら、リプレー映像などを楽しめる仕組みの構築を目指す。実用化に向けては「3D映像の作成までにかかる時間の短縮が課題」(KDDI総研)という。

 東京五輪は技術力を世界に宣伝する舞台にもなる。その舞台で披露するため、各研究所は技術精度の向上や課題解決を急ぐ。