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滑川の山間部イノシシ被害が深刻 市・住民、対策に頭悩ます

6/19(月) 21:45配信

北日本新聞

 滑川市の山あいで、イノシシがタケノコを食い荒らしたり、稲を踏み倒したりする被害が後を絶たない。農作物の被害は面積、額ともに増加傾向で、市は電気柵を設置するなど対策を強化。昨年度は改善したが、新たに車にぶつかる事故も相次ぎ、市や地元住民は対策に頭を悩ませる。 (滑川支局長・小幡雄也)

 「やりたい放題だよ」。5月中旬、滑川市東福寺野の山間部。稲谷才子さん(68)が自身の所有する竹林で、至る所に掘られた穴を見て嘆く。

 例年4~5月には500本ほどのタケノコを収穫するが、2年ほど前からイノシシの被害が目立ち、昨年と今年はたった50本ほど。大半が食べられ、穴の近くには竹の皮だけが残る。タケノコは朝市で売ったり学校給食用に提供したりする。「楽しみにしている人も多いのに年々配れる数が減り、心が痛む」と話す。

 県自然保護課によると、イノシシは約20年前に岐阜県などから県内に入ってきたとされ、その後徐々に個体数を増やし、滑川市を含め各地の山間部に広がっているという。

 同市の被害は、東福寺野を含む山加積と、隣の東加積の両地区の水田でほとんどを占める。市農林課によると、両地区は標高200~300メートル近くの山間部で稲作農家が多い。被害は2009年ごろから増え始め、15年度は被害面積が5・7ヘクタール、額は622万円と最多で、12年度と比べそれぞれ5倍以上に膨らんだ。

 東福寺で約36ヘクタールの田んぼを管理する坂本隆雄さん(65)は、毎年収穫期の秋になると、イノシシに稲を踏み倒されたり、田んぼに水を引く用水を土でふさがれたりし、「まるでイノシシの運動会。田んぼをめちゃくちゃにされる」と嘆く。周囲では土手やあぜを崩されて管理しきれなくなり、休耕田となっている場所もあり、「この辺りは農業で生計を立てている人が多く、死活問題」と漏らす。

 市は10年ごろから谷沿いに進入防止用の電気柵を設け、範囲を広げてきた。個々の田んぼの周囲にも張り巡らせるよう、希望する農家には補助を実施。狩猟講習会の受講料も助成し、16年度は捕獲頭数が過去最多の50頭に上り、被害も15年度の半分近くにまで縮小。一定の効果が表れた。

 だが最近はイノシシが地面に穴を掘って柵の下から入り込んだり、柵が及ばない県道や市道を抜け道にしたりするケースが見られ、農家の間で改善の実感は薄いという。

 同じ山加積地区の小森では昨秋、車にぶつかる事故も発生。町内会長の山岸貢さん(68)によると、4人がバンパーを破損するなどし、「歩行者とぶつかったらただ事では済まない」と危機感を抱く。

 市は16年度から県の補助を受け、電気柵に金網を組み合わせて包囲網を強化。農林課は「行政や住民が知恵を出し合いながら、できる限りの対策を講じたい」としている。

北日本新聞社

最終更新:6/19(月) 21:45
北日本新聞