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マーケターは課題に対してHowやWhatを考えるより、Whyを考えるべし

6/20(火) 7:06配信

Web担当者Forum

「製品を売る」のではなく、「成果を売る」とは、どういうことだろうか。成果を売るとは、お客様の目標を達成させることを意味する。

多くの企業は、顧客の課題を聞き、それを解決する製品を売るだろう。この思考回路は、「どう解決するか(How)」を考えた結果だ。しかし、成果を売るためには、「なぜその課題が起きたのか(Why)」から考え、顧客のゴールを定め、それを解決する糸口を見つけなければならないという。

一体どういうことだろうか。ガートナー ジャパン主催「ガートナー カスタマー 360 サミット 2017」の基調講演、飯室 淳史 氏による「これからはお客様に成果を売れ!」から具体例を交え、レポートする。

 

成果を売るとは、お客様の成功を担保すること

本セッションのテーマである「成果を売れ」とはどういうことか。飯室氏は、成果を売るとは「お客様の成果を最大化し、お客様を成功させ、お客様の目標を達成させること」だと定義する。これまでの製品やサービス、ソリューションの場合は「売って終わり」だった。しかし、成果を売るということは「お客様の課題が解決するまでを担保すること」だという。

本レポートにおいては、成果を売るということをより明確にイメージしてもらうために、基調講演で最後に紹介された「成果を売る成功事例」についてまず紹介したい。この事例は飯室氏がGEヘルスケア時代に日本のある製薬会社に対して手掛けたプロジェクトである。


■ 事例:「製品を売る会社」から「成果を売る会社」への変換点とは

もともとGEヘルスケアはその製薬会社に対して、研究装置や試薬、医薬品製造装置などを提供する「製品を売る会社」だった。それがどのように「成果を売る」ことにチェンジしたのか。

目をつけたのは、製薬会社のゴールとペインポイント(痛み、経営課題)である。

まず、製薬会社のゴールは「どこよりも早く新薬を開発し、市場に導入し、一人でも多くの患者様の命を救うことで、利益を上げること」である。しかし、そのゴールと現状には、大きなギャップがあったのだ。

その製薬会社には研究者が500人いたが、業務の実態をヒアリングしてみると、実質的に研究者の時間の20%が装置のメンテナンスなど研究以外の雑事に追われていることがわかった。

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20%といえば、500人のうち100人がまったく研究していないのと同じこと。1日でも早く新薬を開発することを目指す企業にとっては大きな損失だ。これがまさにこの会社にとってのペインポイントだった(飯室氏)。
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なぜ20%もの時間が雑務に費やされていたのか。それはこの会社の装置管理に問題があった。その製薬会社で使われている装置の台数、種類、メーカーなどを飯室氏が所属するチームが調査したところ、3500種類、5000台の装置があることがわかった。

装置が壊れたら、メーカーに電話し、見積もりをとり、社内稟議を回し、修理を依頼する。手続きを含めて修理が完了するまで1か月以上かかることもざらだった。この手続きを研究者が行っていたという。これは一人の研究者が、10台の装置をメンテナンスをしているようなものだ。


■ 「研究所内に装置のメンテナンス事務所を構える」という奇策

どうすれば研究者が100%の労力を研究に費やせるようになるのか。

ここで思いついたのが、まさに新薬開発を加速させる「成果を売る」ビジネスだった。具体的には、研究所内に事務所を構え、5000台の機械のすべてのメンテナンスを一括して引き受けることを提案したのだ。

この提案を実施した結果、研究者の時間的な節約だけでなく、機械の個数、購入/メンテ費用なども一括管理することでコストを節約できた。そして、GEヘルスケアでは削減できたコストと捻出した時間で、利益をもらうビジネスモデルが成立したのだ。

顧客からは、故障による研究の機会損失を防ぐことが評価され、クチコミで他の製薬会社にも導入が進んだ。最終的に、トップ製薬会社の半分にこのサービスを提供するようになったという。

「製品」から「成果」を売るビジネスモデルに変化するためには、それまでの常識を自ら破壊し、文化を変える必要があった。成果を売るビジネスを牽引するリーダーシップやマーケティングも必要だった。また最初から完了形を目指すのではなく、プロトタイプのアイデアを出して、顧客からフィードバックを受け改善していく「アジャイル」による進め方を実施した。

さて、この事例にこそ、飯室氏が今回の基調講演で訴える成果を売るためのフレームワークが隠れている。そのフレームワークについて、講演の流れに沿って紹介していきたい。

 

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最終更新:6/20(火) 10:06
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