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まとめサイト、盗用賠償までの「険しい道のり」 1枚数万円、一方的な「相場」と闘い

6/21(水) 7:00配信

withnews

 記事を自由に投稿できる「まとめサイト」で写真などを無断転載された被害者が、損害賠償を勝ち取るケースが相次いでいます。ただ、その交渉をたどると、険しい道のりです。(朝日新聞デジタル編集部・信原 一貴)

【拡大画像】写真盗用、LINEから届いた「開示資料」の中身

「被害者軽視」と実感

 写真家の有賀正博さんは3月、まとめサイト「NAVERまとめ」の運営会社LINEから、作品を無断転載した投稿者の情報開示を受けることに成功しました。投稿者に損害賠償として写真1点に対して約6万円を請求。すぐに振り込まれました。

 有賀さんは取材に対し、「交渉を進める中で、いかに被害者の主張が軽視されてきたかを実感しました」と話します。

 ポルトガルで撮影した風景写真の無断転載を発見したのは、昨年10月でした。すぐLINEに抗議して画像は削除されましたが、投稿者に損害賠償を求めるには、LINEから連絡先などの情報開示を受ける必要があります。

 有賀さんは、盗用された写真が自分の作品であることを証明するため、LINEに作品の詳細な撮影データを送るとともに、同じ場所で撮った前後のコマまで提出。「世界的な写真誌にも通用する証拠を送った」と振り返ります。

 しかしLINEからの回答は「ご連絡のあった情報により『権利が侵害されたことが明らか』であると判断できません」と、開示を拒否するものでした。

「投稿、もうやめます」

 ところが昨年12月、風向きが変わります。

 こうした開示姿勢への社会的批判が高まり、LINEが方針転換を打ち出したのです。その内容は、投稿者の情報を「本人の同意が得られなかった場合においても(中略)、開示を行うよう運用を改善しております」というものでした。

 この動きを見て、今年2月に有賀さんは再び開示を請求。1カ月たった3月下旬に、投稿者のメールアドレスやIPアドレスの開示書類が郵送されてきました。

 投稿者は多数のまとめ記事を手がけ、月間200万PVもの閲覧数を稼いでいる人物でした。有賀さんが、大手画像販売サイトの料金をもとに約6万円を請求すると、返信メールには後悔の言葉が並んでいました。「家族にしかられた。もうまとめ記事を書くのはやめます」。実際、記事の投稿は途絶えました。

 無断転載に気づいてから賠償まで、実に半年かかりました。残ったのは「LINEは被害者の権利を守る運用をしているのか」という煮え切らない思いだったといいます。

 そもそも昨年秋の段階で証拠をそろえたのに、なぜ開示されなかったのか。「『権利が侵害されたことが明らか』であると判断できません」としか知らされていない有賀さんは、LINEにメールで詳しく尋ねることにしました。

 回答は、手間をかけて証拠をそろえた立場からは、納得のいかないものでした。

「不開示としたのは、(投稿者から)不同意の連絡があったためです」

「開示には、発信者本人の同意を得ることを原則としておりました」

「(投稿者が)不同意であることは、権利侵害が『明らか』であることを否定する重要な要素であり、これを覆して権利侵害が『明らか』であると言い切る判断を、弊社独自ですることは、とても難しいことでございます」

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最終更新:6/21(水) 7:09
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