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太宰しのび「大鳳」で朗読 「桜桃忌」で宇田川さん―熱海起雲閣

6/20(火) 10:58配信

伊豆新聞

 小説家太宰治の忌日「桜桃忌」の19日、ゆかりのある熱海市昭和町の文化・観光施設「起雲閣」で朗読会が開かれた。市内外からの来館者が短編作品「桜桃」の朗読に耳を傾けながら、静かに太宰をしのんだ。

 和館2階の部屋で、かつて太宰が宿泊した「大鳳(たいほう)」が会場で、朗読は起雲閣ボランティア会の会員・宇田川本子さん(81)=咲見町=が担当した。作品を淡々と読み上げ、太宰の足跡や、太宰と深く関わった3人の女性にまつわるエピソードなども紹介した。

 熱海旅行の途中に立ち寄り、朗読会に参加した佐佐木玲子さん(84)=東京都=は「作品の素晴らしさをあらためて感じたし、太宰が亡くなった時の衝撃を思い出した」と話した。「熱海に移住してすぐに起雲閣に来て、太宰と同じ空間に足を踏み入れて感動したことがある」という西本千鶴さん(43)は「悩みながら自分で決めた人生を歩んだ女性たちの強さを感じた」と感想を語った。

 太宰は玉川上水に入水する約3カ月前の1948(昭和23)年3月18日から、当時旅館だった起雲閣の「大鳳」の間に愛人の山崎富栄と共に2泊し、前後の7~31日には林ガ丘町にあった起雲閣別館の「雲井の間」に滞在して「人間失格」を執筆した。

 起雲閣が市の文化・観光施設となった2000年以降、桜桃忌に朗読会が開かれるのは3回目。今回は起雲閣ボランティア会(松林利江代表)が主催した。館内「文豪の間」でも会員が太宰と起雲閣の関わりを紹介した。

 【写説】太宰ゆかりの部屋「大鳳」で宇田川さんによる朗読に耳を傾ける来館者=起雲閣

最終更新:6/21(水) 11:34
伊豆新聞