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大下剛史氏「逆境になればなるほど勝負根性を発揮する工藤公康」

6/20(火) 11:01配信

東スポWeb

【大下剛史「熱血球論」】改めて、工藤公康という男は度胸のある男だ、と感心した。ソフトバンクが18日の広島戦(マツダ)に7―4で勝ち、交流戦12勝6敗で史上初の3年連続7度目の最高勝率チームに決まったが、この天王山、第1戦で1番、続く試合で7番を打たせた松田を4番に抜てき。内川、デスパイネがいない現有戦力の中で、松田の実績と経験は群を抜いている。そんな選手を日替わりで動かせるのだから、大したものだ。

 この3試合、私は松田の表情や振る舞いに着目していた。選手、指導者としての経験から、松田の心中は決して穏やかではないと思ったからだ。だが、それは杞憂だった。松田は、これまでと変わらず率先して誰よりも大きな声を出し、集中して試合に臨んでいた。選手はみんな見ている。指揮官の用兵や、先輩選手の態度や姿勢を。投打に主力を欠く緊急事態の中、工藤監督は自らの采配でチーム全体の士気を高めた。振り返れば、現役時代から工藤は、チームの窮地を幾度となく救い勝利に導いてきた。逆境になればなるほど勝負根性を発揮する。監督になっても――。そう思わせる見事な采配だった。

 大物選手であってもフォア・ザ・チームの精神で戦えるのもホークスの強みだ。これは王球団会長が監督時代にチームに植えつけたもので、それが受け継がれている。「伝統」という財産を改めて実感した。見ている者が応援したくなるチーム。こういう球団が多くのファンに愛される。

 敗れはしたが、ソフトバンクと同じ12勝6敗で交流戦を終えた広島には、秋にリベンジの機会が残されている。私は今年の日本シリーズで、両者の再戦が実現する可能性が極めて高いと思っている。この3連戦、両者ともに日本シリーズを想定した戦いをしていたはずだ。ソフトバンクは内川、デスパイネがいない打線をやりくりしての勝ち越し。カープ側は多少なりとも心理的にダメージを負ったはずだ。ソフトバンクとしては、相手に嫌なイメージを植えつけただけでも、秋に向けてアドバンテージがある。

 だが、何がどう転ぶか分からないのが野球。日本一への布石を打ったのはどちらか。4か月後が楽しみだ。(本紙専属評論家)

最終更新:6/20(火) 12:12
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