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「異議あり!」 リアル法廷であり?なし? 弁護士「ここぞ!の時に」 検察官、裁判官の本音は…

6/23(金) 7:00配信

withnews

 「異議あり!」。ここぞという場面でビシッと相手を指さしてアピールする弁護人。ゲームやドラマの世界では、胸のすくような逆転劇の幕開けにも使われるシーンですが、現実の刑事裁判では「相手を威圧する、好ましくない作法」と言われています。とはいえ「今どきの異議」のやり方ってないのでしょうか? 弁護士や検察官に話を聞いてみました。(朝日新聞名古屋報道センター記者・仲程雄平)

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「やってはいけない例」

 法廷での異議の申し立ては、刑事訴訟法などで定められた手続きで、法廷の証人や被告に対し、誘導尋問があった場合などに使われます。

 裁判での異議といえば、刑事弁護人らが「異議あり!」と指さし、証人のうそを暴く……。そんなゲームや映画のシーンを思い浮かべませんか? 

 ところが、日本弁護士連合会刑事弁護センターの研修では「やってはいけない例」として、教えているといいます。なぜでしょうか。

「最初の60秒でつかみ」

 弁護士会では2009年の裁判員制度導入を機に、説得力のある効果的な話し方や作法などの研究を進めてきたそうです。

 日本弁護士連合会刑事弁護センターは2013年以降の年2回、全米法廷技術研究所(NITA)の指導法を基にした弁護士向けの研修を開催。冒頭陳述や最終弁論などで裁判官らを説得するための「法廷技術」を研究しています。

 研修は実演型です。冒頭陳述では、「最初の60秒間に興味をつかまないといけない」などと解説を受けた後、受講生が実演。講師が陳述の構成などについて講評するとともに、ボディーランゲージの効果的な方法や口癖を防ぐ方法などもアドバイスします。

「冷静に指摘する方が優れている」

 法廷技術小委員会委員長の松山馨(けい)弁護士(埼玉弁護士会)によると、研修の「異議」のコマでは、講師が実際に尋問をして、受講生が異議を言います。聞き手である裁判官らの気持ちを中心に考えると、指さすのではなく、「ルール違反を的確、冷静に指摘する方が優れている」と教えているということです。

 刑事弁護の経験が長い愛知県内の弁護士も「『異議を述べる時は紳士、淑女たれ』と若手に教えている」と話します。「誘導尋問です」や「誤導です」のひと言だけでは裁判員に伝わりにくいため、異議の理由を丁寧に説明するようにしているそうです。「異議が出ると審理が止まるので、『ここぞ』という時に述べている」と明かしました。

 効果的な異議によって検察官の質問を変更させたり、撤回させたりすることができるといい、「尋問がうまい先輩と共同で弁護することで異議の申し立てが上達し、いろいろな戦術も身につく」のだといいます。

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最終更新:6/23(金) 14:30
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